更新日:2025/09/29

    通信インフラを支えるスマートメンテナンス技術
    NTT先端集積デバイス研究所

    概要

    通信インフラ設備の持続的かつ安定した運用を支えるため、既存のメンテナンスサイクル(点検・診断/劣化予測/補修/設計提案)を高度化・先進化し、設備の状態を把握して先回りで対応する予防保全スタイルと、材料劣化の理解と分析に基づく実効的な対策技術の提供をめざしています。非破壊・非接触なセンシング技術の高感度化・可視化により、地中・構造物内部など点検困難な設備も対象に保守計画を立案可能とし、劣化挙動の予測技術によって合理的かつ計画的な保全判断を支援します。さらに、補修作業の効率化や自動化を志向した施工技術、耐久性に優れた材料や補修方法の活用により、保守性の向上と設備の延命・長寿命化を両立させ、将来にわたって持続可能なインフラ運用の実現に貢献します。

    背景・従来課題

    通信インフラは、地中、水中、高所、構造物内部など多様な環境に設置されており、目視や接触による従来型の点検・診断が困難な設備も数多く存在します。これらの設備に対しては、

    • 非破壊・非接触で劣化状態を把握できる検知技術(センシング)
    • 経年劣化の進行を予測し、保全判断を合理化する予測技術(プレディクション)
    • 省力化・自動化・安全性向上を実現する補修施工技術や、長寿命材料の導入(リファイン)
    • 保守性・耐久性を組み込む構造・材料・機能設計技術(デザイン)

    が求められています。今後の保全においては、これらの技術を連携・統合させながら、計画的かつ予防的な保守・更新の実施を支援する技術群が不可欠です。

    本技術のアドバンテージ

    ■ センシング:状態・異常の検知
    • 電磁波センシング技術(地中レーダなど)を高感度・高分解能・局所探査型へと高度化し、地下・構造物内部など目視が困難な設備の状態を非接触で可視化できます。
    • 点検や調査の対象範囲を拡大するとともに、探査と連携した新たな施工技術を創出することで、更改工事などの合理化と効率化を支援します。

    ■ プレディクション:劣化予測
    • 金属材料における腐食や疲労といった劣化メカニズムを電気化学的・数理的に解明し、耐用年数や将来的な劣化リスクを予測するモデルを構築します。
    • 点検や更新の合理的な判断を支援し、保全計画の最適化と通信障害リスクの低減に寄与します。

    ■ リファイン:作業効率化・設備延命化
    • 粉塵レス・反力レスといった特徴をもつレーザ施工技術を活用することで、従来の機械式施工と比較して作業環境性や制御性を向上させ、補修作業の効率化と高品質化を実現します。
    • 素地表面の均質化によって塗膜密着性を高め、素材本来の耐久性を引き出すことで、点検周期の延伸や設備の長寿命化に貢献します。
    • 塗料や補修樹脂などの高分子材料について、劣化機構を化学的に解明し、耐久性・防食性に優れた補修材料の開発・適用を進めることで、設備の信頼性向上と保守性の改善に寄与します。

    利用シーン

    • センシング:地中・構造物内部に敷設された通信設備に対し、非接触探査により設備位置や状態を可視化します。また、掘削時の干渉回避や保守計画の立案を高度化し、施工リスクの低減と効率化に貢献します。
    • プレディクション:マンホール内金物などの支持部材に対して腐食進行を数理的に評価し、耐用年数を予測します。これにより、点検・更新の適正時期を把握し、過剰・過小な保全を抑えながら、通信障害リスクの低減を実現します。
    • リファイン:鉄塔・橋梁などの屋外鋼構造物に対して、レーザ素地調整や高耐久・高耐候塗装といった先進的かつ環境に適した補修を適用することで、塗膜密着性の向上や腐食・紫外線への耐性強化を図り、設備の延命化と保守の省力化を両立します。また、コンクリート柱内の鉄筋には腐食や水素脆化を抑制する補修方法を適用することで、鉄筋の寿命延伸と信頼性向上を支援します。

    解説図表

    担当部署

    先端集積デバイス研究所 サステナブルデバイス研究部

    関連するコンテンツ