更新日:2018/08/02

    物知り対話ロボットNTTコミュニケーション科学基礎研究所

    背景・従来課題

    従来の対話AIを搭載したガイドロボットでは、ユーザからの質問に回答する質問応答機能など、ユーザからの要求に基づいて知識を伝えるための技術が開発の中心となっていました。一方、ガイドする物事自体や対話そのものに興味を持ってもらうためには、雑談を通してユーザと打ち解ける機能も重要です。従来の対話AIでは、質問応答などの知識を伝える対話を行う機能と、雑談を行う機能とが別々につくられてきたため、質問応答と雑談を自由に行き来し、興味を持たせつつ知識を伝えるような対話は実現できていませんでした。

    概要

    雑談を通してユーザに対話への興味を持たせつつ、その興味に応じて知識を伝達する、新感覚の対話AIです。NTTがこれまで培ってきた「複数ロボット連携による雑談制御技術」を応用し、2台のロボットの連携を通して対話の話題を適切にコントロールすることで、雑談と質問応答を違和感なく行き来できる対話を世界で初めて実現しています。

    本技術のアドバンテージ

    • 雑談と質問応答を違和感なく行き来できることで、雑談でユーザに興味を持たせながら、知識を伝達する対話が可能
    • ロボットとロボットの間での対話を利用することで、自然な話題制御を実現

    利用シーン

    • 動物園や美術館などのガイド
    • 高齢者施設等での話し相手

    解説図表

    技術解説

    私たちはこれまで、単純な命令や質問応答に答えるタスク対話とは異なり、対話を通してユーザの満足度を高めたり興味や思考を引き出したりすることを目的とする、雑談対話AIの実現に取り組んできました。その一環として、対話AIの性能そのものを高める営み以外にも、人の感じ方を利用することで対話の満足度を向上させる、複数ロボット連携による雑談制御技術の開発を進めています。現在の雑談対話AIでは、幅広い話題にわたった雑談を実現するため浅く広い対話知識を基にしています。このため個別の話題に対応した知識が十分ではないため、しばしば不自然な発話をしてしまい、対話が破綻し継続が困難になるという問題があります。しかし複数のロボットが連携して対話を進めることで、人に与える不自然さを軽減しつつ、破綻しにくいよう話題を制御できることが分かっています。
    今回、複数ロボット連携による雑談に、ユーザからの質問に答える質問応答を組み合わせることで、雑談と質問応答との間を違和感なく行き来できる対話を実現しました。複数ロボット連携による話題制御を活用して話題を限定することで、限定された話題に対応した詳細な対話知識の構築が可能となりました。この詳細な対話知識を基に雑談対話AIと質問応答AIを動作させることで、両者の間を双方向にかつ連続的に行き来し、雑談でユーザに興味を持たせながら、知識を伝達する対話を世界で初めて実現しています。

    担当部署

    NTTコミュニケーション科学基礎研究所 協創情報研究部

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