更新日:2016/02/09
我々は会話の際、言葉とともに声の高低を用いて調子や意図や話者性などの様々な情報(非言語情報)を相手に伝えています。声の高低の時間変化を表す基本周波数(F0)パターンはイントネーションとアクセントからなります。イントネーションとは文全体に及ぶ範囲で緩やかに上昇下降するF0パターンの成分、アクセントとは各単語の中で急峻に上昇下降するF0パターンの成分であり、これらのタイミングと強度が様々な非言語情報を表現する役割を担っています。人間の発声機構において、F0パターンは声帯に張力を与える甲状軟骨によって生み出されており、甲状軟骨の2つの独立な運動(並進と回転)がイントネーションとアクセントに対応していることが知られています。従って、音声から逆に甲状軟骨の動きを推定できれば、その運動パラメータを介して音声の話し方を自由に変換することが可能になりますが、この逆推定は長らく難しい問題とされてきました。
本技術は人が話す際の“自然な感じ”を保ったまま声の高低(F0パターン)を調整し、様々な話し方の音声に変換することができる音声処理技術です。この技術により、例えば標準語の音声を地方の方言の音声に変えたり、普通の音声をアナウンサーのようにメリハリのある音声に変えたりすることが可能です。テキストをコンピュータに読ませる音声合成技術にも応用することができます。

F0パターンの生成過程の物理モデルを離散時間確率過程により記述し、イントネーションとアクセントの成分の統計的な偏りを手がかりとする斬新かつ強力な統計的信号処理アルゴリズムを考案しました。
NTTコミュニケーション科学基礎研究所 メディア情報研究部