更新日:2014/10/27
近年急速に普及したデジタルデバイスの機能的特徴として、動くものをインタラクティブに表示可能である点が上げられます。しかし、この特徴は文章のビューアには活かされていませんでした。一方で、紙媒体では指で文字をなぞることで深い読文が起こるといわれています。私たちはこのなぞり読みの特性とデジタルデバイスの持つインタラクティブ性を利用したデジタルデバイス特有の文章表示方式を提案しました。
薄く表示されていた文字をなぞると濃くなります。ユーザがなぞりながら、注意深く文を読むことを誘導します。
なぞりによる文字出現の時間パラメタを変更することによる読文印象の操作、ユーザの指位置を記録することによる読文行動のモニタリングが可能です。
オンライン教育、読文が苦手な人へのサポートといった教育分野や細かなニュアンスの伝わるメールなど通信分野での応用も可能です。

本方式では、文字ははじめ薄く表示されています。ユーザが薄く表示されている文字に触れると、文字が濃く表示されます。
文字の出現は以下の4つのパラメタを通して制御します。
(1)触ってから文字が濃くなり始めるまでの時間
(2)文字が最も濃くなるまでにかかる時間
(3)文字が最も濃い状態を保つ時間
(4)文字が下の薄い表示へ戻るのにかかる時間
これらのパラメタを変化させると、読文の印象そのものにも変化が現れることを私達は発見しました。
読文中のユーザの行動をモニタする方式としては、文章を読む時間を測定したり、
眼球運動を記録するといった方法が用いられてきました。
この方式では、全体の読み時間だけではなく、ユーザの読文の様子や速度を文章位置ごとに細かく測定する事ができます。
タブレットPCが標準的に備えるタッチパネルを通してユーザの指位置を取得するので、眼球運動を用いた読文行動の測定のように特殊な装置を使わなくても、読文行動の測定が可能です
本方式は、
(a)なぞり位置の記録
(b)別端末で本方式を利用しているユーザがなぞっている位置(=読みの位置)の通信による取得
(c)記録されたなぞりデータを使ったデータ解析および別デバイスでの読文動画再生
(d)なぞりをトリガとした音声再生
といった付加的な機能と連動することで、通信、教育などへの幅広い利用が期待できます。
これまでに、本方式を用いて試作した研修教材で、研修受講者での内容記憶の向上が起こること、なぞりと内容記憶成績に関連があること、が明らかになっています。
NTTコミュニケーション科学基礎研究所 人間情報研究部