更新日:2022/01/21

    音声をより聞き取りやすく、音楽をより豊かに収録音に含まれる残響を自在に制御する技術「Revtrina」
    NTTコミュニケーション科学基礎研究所

    概要

    収録音声に含まれる残響は、音声の明瞭性を低下させる要因になる一方、音楽を豊かに響かせるという、音楽鑑賞には欠かせない重要な要素にもなります。これまで、音に含まれる直接音と残響を区別し、これら残響の長所短所をコントロールすることは困難でした。
    私達は、音に含まれる残響を高精度に推定し、自在に制御することのできる独自技術を開発しました。本技術を用いることで、収録音声に含まれる残響を低減し聞き取りやすくしたり、CDなどの音楽の残響を抽出・分離して、あたかもその音楽を収録した環境で聞いているようなサラウンド感を持つ再生音を作り出すことができます。

    本技術のアドバンテージ

    • 収録音に含まれる残響を自在に制御
    • プロ音響技術者が映画/TV/CMの制作現場でも使用できる音声の高精度残響除去ツールを提供可能
    • 2ch音楽ソースから5.1chサラウンド再生音を自動生成可能

    解説図表

    技術解説

    はじめに、図1を用いてRevtrinaの残響推定・分離原理を解説します。図1の①-A~①-Cに示すように、残響を含まない音声や音楽には、時間的に離れた信号間での類似度(相関)が非常に低くなるという性質があります。しかし、そこに残響が加わると、過去の音成分が現在信号に残響として残留するため、時間的に離れた信号間での相関は高くなります(②-A~②-C参照)。この時間的に離れた信号間での相関を残響に起因する相関とみなします。収録条件や残響に関する事前情報を用いなくとも、相関の量をもとに残響成分の量を推定することで、収録音のみからの残響推定、分離ができます。

    分離した残響成分を収録音から差し引くことで、残響除去を達成することができます。現状、Revtrinaを用いた残響除去技術はソフトウェアとして成果登録されています。プロ音響技術者がそのソフトウェアを用い、パラメータを適切に手動調整することで、高精度な残響除去を行うことが可能です。

    また、2ch音楽ソースに含まれている直接音成分と残響成分を分離し、それぞれを前方および周囲に配置されたスピーカに再分配し再生することにより(図2の (C))、あたかも音楽ホール等の客席で音楽を鑑賞しているような自然な響き(図2の(A))を再現することが可能になります。通常のように、2ch音楽ソースを2chステレオ再生した場合(図2の(B))には、直接音成分も残響成分もリスナーの前方から聞こえてくるため、このような自然な響きを得ることはできません。

    用語解説

    残響
    壁や天井等からの反射音です。

    Revtrina
    Revtrinaという名前は、収録音に含まれる残響成分 (reverberation) と直接音成分に対して、分離、低減、強調の3種類(tri)の操作を可能にする残響制御技術であることを意味します。

    2ch音楽ソース
    CDなどに収録されている、左チャネルと右チャネルから成る音楽信号です。ステレオ音楽などとも呼ばれます。

    5.1chサラウンド再生
    聴取者の正面、右前方、左前方、右後方、左後方、低音出力用サブウーファースピーカーの6つのスピーカーを用いる音の再生方法を指します。サブウーファースピーカーは出力できる音域が限られているため、0.1chとカウントされています。

    担当部署

    NTTコミュニケーション科学基礎研究所 メディア情報研究部

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