更新日:2024/09/05

災害対策用衛星通信端末局アクセスサービスシステム研究所

目次

概要

現在NTTグループで運用している災害対策用衛星通信システム向けに、被災地に持ち込み、電話回線やWeb171接続環境を提供できる災害対策用衛星通信端末局を開発しました。可搬性を維持しつつ1分間で設営できるアンテナ簡易展開機構により、被災地において迅速な端末設営と回線確保が実現できます。さらに、基地局が被災などにより使用できない場合でも最低限の通信回線を確保できる端末間直接通信機能も有します。

背景・従来課題

従来の端末局(小型衛星通信地球局)は被災地への運搬を考慮して、パラボラアンテナの鏡面とRF部を分割収納可能です。さらにアンテナを衛星の方向に自動調整する機能も有し、無線従事者が不在でも運用できます。しかしながら、導入から長期間経過し維持管理の継続が困難です。また、アンテナの組立手順が多いため、定期的な習熟訓練を要します。さらに災害の大規模化・広域化により、基地局自体の被災や故障等によりシステム全体が機能不全になることも想定されます。

本技術のアドバンテージ

  • NTT東西の現用災害対策用衛星通信システム(ポータブル衛星)への適用が可能
  • アンテナの簡易展開機構により運用開始までの時間を大幅に短縮(従来の端末局:30分→ 開発した端末局:5分)
  • アンテナの自動指向方向調整機能、および、基地局を使わずに端末間で直接通信する機能を具備
  • 災害対策用衛星通信システムの運用時は、回線開通時の電波送出試験(アップリンクアクセステスト)を遠隔地から実施可能

利用シーン

  • 大規模災害発生時に被災地に本端末局を設置し臨時回線を提供

解説図表

AS0107_1.jpg

技術解説

既存システムの課題解決を目指し、 (1)(2)の特徴を有する新たな端末局を開発しました。
(1) アンテナの簡易展開機構
既存端末局のアンテナ開口径75cmを維持し、鏡面を3つに分割・蝶番により簡易に組み立て出来る機構にしました(図2)。また、直接放射型パラボラアンテナに変更、RF部(BUC (Block Up Converter:送信用増幅・周波数変換器) / LNB (Low Noise Block Converter:受信用増幅・周波数変換器))はアンテナ鏡面の背面に配置すると共に、既存端末局で必要であるアンテナ制御部との配線の挿抜を不要とし、ボタン1つでアンテナの展開・収納できる機構にしました。これらより可搬性を維持しつつ簡易に設営できる可搬型アンテナを実現しました。
(2) 端末間直接通信機能
基地局が使えない場合でも最低限の通信回線を確保するため、2台の端末間で直接通信する機能を有します(図1(b))。使用する2台の端末局のうち、一方の端末局は既存システムの基地局相当機能を有する親局、他方は既存システムの端末局と同等の子局です。子局は親局からの制御信号を参照してアンテナの指向方向を自動調整します。一方、親局の設置時は、制御信号を受信できないため、制御信号を用いた方向調整が出来ません。そこで隣接する複数の衛星のビーコン信号を順次捕捉し、隣接衛星との相対位置から所望衛星の方向を確認することで所望の衛星を補足していると判断する自動調整機能を有します。

担当部署

アクセスサービスシステム研究所 無線エントランスプロジェクト

関連するコンテンツ