更新日:2024/01/31
短距離伝送用の簡易構造MCF(Multi-Core Fiber:マルチコア光ファイバ)および長距離伝送用にコア間クロストークを抑制した低クロストークMCFを、陸上ネットワークで広く用いられている細径高密度光ケーブルに実装しました。フィールド環境下で良好な敷設性と季節変動特性を確認し、実際の光伝送路を模擬したMCF伝送リンクの相互接続性および4,000km級の伝送ポテンシャルを明らかにし、陸上ネットワークへの適用可能性を示唆しました。
データ通信容量の急速な増加に伴い、現在使用されている光ファイバの伝送容量限界を超える可能性があります。これに対応するため、MCFの研究開発が進んでいます。なかでも、既存の製造技術や周辺技術の活用が期待できる、従来の光ファイバと同じ太さ、同じ光学特性を持つ4コア光ファイバに注目しています。ケーブル化やフィールド敷設時の特性偏差の把握が実用化に向けて重要であり、実際の伝送路の設計と実装が必要です。
陸上ネットワークで使用される細径高密度光ケーブルは、直径約10mm程度のケーブル内に200心以上の光ファイバを高密度に収納できます。本研究では、汎用光ファイバと同等の光学特性を有する簡易構造のMCFと低クロストークMCFが同一のコア間隔(40μm)で設計可能であることを明らかにしました。また、これらのMCFを実装したケーブルを試作し、ケーブル化およびフィールド敷設後も良好な性能と長期的な安定性を保持していることを確認しました。さらに、フィールド環境においてマルチベンダーでのMCF伝送路を構築し、1°以下の角度調整精度を確保することで、良好な融着接続を実現しました。伝送リンクのMCFの長手方向のランダム性を考慮することで、コア間の特性差を緩和し、伝送特性を向上させました。実際に、フィールドに敷設した低クロストークMCF伝送リンクを用いて、4,000kmを超える伝送性能を実証しました。
本研究成果の一部は、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)の委託研究「高度通信・放送研究開発委託研究(採択番号20301)」により得られたものです。
NTTアクセスサービスシステム研究所 アクセス設備プロジェクト
NTT未来ねっと研究所 トランスポートイノベーション研究部