更新日:2023/11/30

マルチコア光ファイバを用いた給電・通信同時伝送技術NTTアクセスサービスシステム研究所

目次

概要

現在の光ファイバと同じ細さで4個のコアを有するマルチコア光ファイバを用いて、10km以上先の無電源地点へ1W以上の電力を供給しながら双方向の高速光通信に成功しました。

背景・従来課題

ルーラルエリアや非常時における光通信の確保に向けて、通信用と給電用の2種類の光信号を1本の光ファイバで伝搬し、無電源の遠隔地との光通信を実現する技術が検討されています。しかし、従来の技術では光ファイバの入力光強度限界により10km以上離れた場所で、光通信装置の駆動に必要な1W以上ので電気電力を得ることは不可能でした。

本技術のアドバンテージ

  • 現在の光ファイバと同じ細さのまま単位断面積当りの給電電力を最大化
  • 4個の各コアは現在の光ファイバと同様に利用できるため、既存の光通信装置をそのまま利用可

利用シーン

  • 災害時、非常時の光通信手段確保
  • 電化困難エリアへの光通信の提供

解説図表

技術解説

①マルチコア光ファイバ(MCF)
今回使用したMCFは、既存の光ファイバと同じ細さで、かつ各コアが既存光ファイバと同等の伝送特性を有するため、通常の光通信にも既存の伝送装置と組み合わせて使用することができます。また、各コアが独立して使用できるため、任意のコアを給電用にも通信用にも、あるいはその双方に割り当てることができます。図1に示すように、本検討では光給電量を最大とするため、4コアに波長1550nmの給電用の光源を入力しました。更に、4コアのうちの2コアを用い、各コアに波長1310nmの上りおよび下り信号を割りあてることで双方向の光通信を実現しています。(最大2セットまで設定可能)。

②世界最高の自己給電伝送能力
光給電能力は伝送距離と供給電力の積で表すことができます。本検討では、MCFの適用で単位断面積当りの供給電力を最大化し、光給電効率の劣化要因となるシステム内の戻り光を抑制することで、MCFを14km伝送後に約1Wの電気電力を得ることに成功しました。光給電能力は14W・kmで、これは世界トップの性能指数です。さらに、自己給電による伝送速度10Gbit/sの双方向光通信を実証し、自己光給電伝送における伝送速度と伝送距離の積において、140Gbit/s・kmと世界最高の伝送性能を実現しました(図2)。

用語解説

光ファイバの入力光強度限界
光ファイバの出力光強度は入力側の光強度に比例して増減しますが、入力光がある光強度(閾値)を超えると、入力光が違う成分(波長)の光に変換される現象が生じ、出力側の光強度が増加せず飽和してしまいます。この閾値が光ファイバの入力光強度限界となり、入力光強度限界は、光ファイバの伝送距離が長くなるほど、また光ファイバ中の光信号を伝搬する領域(コア)が小さくなるほど低下してしまいます。このため、高速光伝送に適した小さなコアを有する通信用光ファイバでは、より遠方により高強度の光信号を送ることが困難でした。

担当部署

NTTアクセスサービスシステム研究所  アクセス設備プロジェクト

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