更新日:2023/11/30

光ファイバケーブルによる空間モード制御技術NTTアクセスサービスシステム研究所

目次

概要

NTTがかねてより研究・実用化を進めてきた細径高密度光ケーブルにおいて、ケーブルの設計パラメータ(光ファイバを束ねる張力や間隔)を積極的に活用することで、ケーブル内に実装する光ファイバに加わる曲がりや捩れを意図的に制御できることを世界で初めて実証しました。設計パラメータを最適化した細径高密度光ケーブルにおいて、モード間分散を最適化前に比べ60%低減し世界最小の分散特性を実現しました。60%の分散量の低減は、伝送距離を6倍以上に拡大することと等価であり、本成果により将来の長距離大容量光伝送路の実現性を大きく前進させたと言えます。

背景・従来課題

将来にわたり増え続けるデータ通信需要を持続的に支えるため、マルチモード技術が必要とされています。これは、1本の光ファイバ内で複数の光の種類(モード)を伝搬可能にする技術です。しかし、伝搬する各モードの伝送速度の違いから、伝送距離が長くなると時間軸上の分散が増大し、受信側の信号処理が複雑になる問題が生じます。モード間の速度差は光ファイバの構造を最適化することで低減可能ですが、光ファイバの曲がりや捩れといった設置状態により変わるため、光伝送路全体での伝送速度差の制御は極めて困難でした。

本技術のアドバンテージ

  • NTTが開発した細径高密度光ケーブルにおける設計パラメータを最適化することで、実装される光ファイバに加わる曲がりや捩れ状態を制御
  • 低損失性とモード間伝送速度差低減の両立により、世界最小のモード間伝送速度差を有する細径高密度マルチモード光ケーブルを実現

利用シーン

  • 将来の長距離大容量伝送ネットワーク

解説図表

技術解説

細径高密度光ケーブルは、直径約10mm程度のケーブルの中に200心(200本)以上の光ファイバを高密度に収納できる光ケーブルです。細径高密度光ケーブルには、複数の光ファイバを束ねたバンドルファイバユニットを最密構造に近い状態で充填しています。各バンドルファイバユニットは、光ファイバがバラバラにならないようにバンドルテープで束ねられており、バンドルテープの張力と巻き付けのピッチを可変することで、束になる光ファイバに加わる曲がりと捩れの状態を制御することができます。
本研究では、曲がりや捩れの影響をより顕著に受けやすい結合型マルチコア光ファイバを対象とし、2個のコアで2モードを伝搬可能な光ファイバを用いて検討を行いました。この結合型マルチコア光ファイバを張力条件の異なる状態でケーブル化し、最適な張力条件を付与することにより、ケーブル化に伴う損失増加を抑制しつつ、空間モード分散係数を、張力制御を行わない場合に比べ約60%低減できることを確認し、これまでに報告されている研究例の中で、世界最小の空間モード分散係数(1.5 ps/√km)を実現しました。

用語解説

結合コア型マルチモード光ファイバ
マルチモード光ファイバは、同一コア内で複数モードを伝搬する単一コア型と、N個のコア間結合を用いてN種のモードを伝搬する結合コア型とに分類できます。本研究では、2コアで2モードを伝搬する結合コア型のマルチモード光ファイバを使用しました。
空間モード分散係数
モード間干渉による時間軸上の信号分散で、距離の平方根に比例して増大します。

担当部署

NTTアクセスサービスシステム研究所  アクセス設備プロジェクト

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