点群メタバース構築技術

フォトリアルなサイバー空間の実現に向けて

近年、VR(仮想現実)やAR(複合現実)という言葉に代表されるXR関連技術の進化・低廉化や、昨今のコロナ禍における多様なオンラインコミュニケーションの進化にともない、これまで以上に豊かで多様な体験を実現できる、「メタバース」の社会実装が進んでいます。

その主な活用事例として、「メタバース」によるバーチャル観光をきっかけとした地域創生に向けた取り組みがあげられますが、これまでの事例では、その「空間表現性」の低さを一つの要因として、中長期的な「関係人口の創出・拡大」にまで繋がらないことが課題になっています。

そこで本取り組みでは、現実世界を計測した膨大なデータを統合・処理し、視覚だけでない五感でアクセス可能な没入感の高いフォトリアルなサイバー空間を創出。本空間上で現地での生活をリアルに体感可能にすることで、地域に対する情熱や愛着を醸成し、関係人口の創出・拡大を実現すべく、これまでに以下の技術を活用して、視覚、聴覚、触覚など複数の面からアプローチしています。

  • 3D点群メディア処理技術:現実を計測し統合・処理することで、その場の空気感まで再現(図1)
  • 3D音響空間推定・生成技術:環境音を動的に再合成し、その場にいるかのような空間音響体験を実現(図2)
  • 触覚伝送技術:振動感覚を提示することで、より臨場感のある体験を実現(図3)

3D点群メディア処理技術で構築したメタバース空間の具体例です。図1 3D点群メディア処理技術

周囲をデジタル化するイメージ図2 3D音響空間推定・生成技術

マットに触覚伝送装置を組み込んだ具体例です図3 触覚伝送技術
ICC_HPより引用 撮影:木奥恵三 写真提供:NTTインターコミュニケーション・センター[ICC])

今後は上記のような「空間表現性」の向上に関する技術だけでなく、コミュニケーションの主体となるアバターの「自律性・本人性」や「多様性」を向上させるAnotherMe®関連技術も活用して、リアルとバーチャルをシームレスにつなぐ「超高臨場メタバース」を構築し、地域関係者の皆さんとともにその可能性や価値・ビジネスモデルの検証を行いながら、早期の社会実装をめざします。

アクティビティ紹介

「TENGUN Ogijimaプロジェクト」
NTTとNTT西日本、NPO法人男木島生活研究所、有限会社ケノヒの4社による、フォトリアルな「男木島」メタバースを活用した関係人口創出・拡大を目的としたプロジェクト。


本プロジェクトでは、NTTグループが提唱するIOWN構想で実現される、「低遅延」、「低消費電力」、「大容量・高品質」のネットワーク・情報処理基盤と、NTTで研究開発を進めている3D空間メディア処理技術やAnother Me®関連技術等を活用して、リアル世界/サイバー世界それぞれの体験をシームレスにつなげることが可能な、新たなコミュニケーション基盤の社会実装により、関係人口の創出・拡大と、「男木島」をはじめとする離島地域が抱える様々な課題解決をめざしています。