前書き
本データセットは視聴者の共感的な反応を捉えるための映像データとその感情アノテーションデータ、および映像の出演者や第三者視聴者の生体データ、心理測定尺度データから構成されます。映像データは出演者が過去の感情的なエピソードについて語る自叙伝形式映像と、短いドラマ風のシナリオ形式映像の2タイプに分かれ、自叙伝形式映像にのみ出演者の撮影時および視聴時の生体データが含まれます。各映像は必ずしも視聴者の共感状態を喚起させるものではなく、個人ごとの共感の起こりやすさや、共感の仕方の特性なども含めて調査可能にすることを目的としています。本映像刺激を用いて視聴者から収集したデータと、データセットに含まれる出演者・視聴者データを組み合わせて比較することで、ヒトの共感反応を多面的に調べることができます。
更新情報
問い合わせに関する情報を更新しました。(2024.4.15)
データの提供を開始しました。(2024.3.21)
データセットの概要
<自叙伝形式>
怒り・嫌悪・恐れ・喜び・悲しみ・驚きの 6 感情カテゴリについてのエピソード映像と、感情を含まないニュートラル映像からなります。感情を含む映像は、1感情につき4エピソード、それぞれ感情表出ありと感情表出なしの2パターンの映像が含まれます。
- 参考文献[1]のプロトコルに倣い、プロの役者 8 名が自身の過去の感情的な出来事をカメラに向かって説明する 1~3 分の映像を作成。1 人 3 エピソード(3 感情)、同一エピソードで感情を表出する場合と表出しない場合の 2 パターンを撮影。感情表出の有無に関わらず、テーマ感情を内面に喚起させた状態で撮影を実施。
- ニュートラル映像として自身の自宅について説明する映像を 1 人 1 本撮影。
- 撮影後、各映像のテーマ感情の強さについて、出演者本人による感情強度アノテーションを実施。
- 撮影中、およびアノテーション中の出演者の心電図(ECG)、皮膚電気反応(GSR)を計測。
- 対人反応性指標(Interpersonal Reactivity Index: IRI)を用いて、出演者の気質的共感性を測定。
図1: 自叙伝形式映像の例
<シナリオ形式>
怒り・嫌悪・恐れ・喜び・悲しみ・驚きの 6 感情カテゴリについての短いドラマ風の映像と、感情を含まないニュートラル映像からなります。感情を含む映像は、1感情につき4つのストーリーの映像が含まれます。
- 出演者はプロの役者とし、事前に制作した台本をもとに撮影を実施。
- 撮影後、編集で映像効果や音楽を加えて 1~3 分の映像を制作。
- 映像の完成後、各映像のテーマ感情の強さについて、主人公を演じた出演者本人による感情強度アノテーションを実施。
- ニュートラル映像として人物が登場しない動物や風景の映像を用意。

図2: シナリオ形式映像の例
データセットに含まれるデータ一覧
<自叙伝形式>
- 映像データ(.mp4) 56 本
6 感情カテゴリ各 4 エピソード(感情表出あり/なしの 2 パターン)48 本
ニュートラル映像 8 本
- アノテーションデータ(.csv) 56 ファイル
出演者本人による時間的に連続な感情強度アノテーションデータ
映像視聴時の生体データと同一ファイルに含まれる
- 生体データ(.csv) 112 ファイル
出演者本人の映像撮影時、および映像視聴時の
心電図(ECG)と皮膚電気活動(GSR)の raw データ
<シナリオ形式>
- 映像データ(.mov) 30 本
6 感情カテゴリ各 4 エピソード 24 本
ニュートラル映像 6 本
- アノテーションデータ(.csv) 30 ファイル
出演者本人による時間的に連続な感情強度アノテーションデータ
提供対象者・利用目的
本データは大学および公的研究機関、民間企業の研究者を対象として提供します。利用目的は共感研究および感情研究など、感情関連研究に限ります。利用の可否をお知りになりたい方は下記のお問い合わせ先までご連絡ください。
利用申請方法
- 「データセット利用規約」をダウンロードいただき、内容をご確認ください。
- 同意いただける場合は、利用規約の最後に添付された同意書へ署名・捺印と、審査に用いる情報欄のご記入をお願いいたします。
- 記入済みの同意書のコピー(.pdf)を下記お問い合わせ先までお送りください。
- 学生の方は事前に指導教官の承認を得たうえで、指導教官の方をCcに入れて同意書のコピーをお送りください。
- 記入いただいた情報をもとに審査を行い、審査結果をメールにてお知らせいたします。
データセット利用規約
お問い合わせ
NTT 人間情報研究所 デジタルツインコンピューティング研究センタ 共感映像刺激
データセット公開担当
empathy-dataset@ntt.com
参考文献
[1] 太田藍李,中根愛,熊野史朗,村田藍子,志水信哉.共感喚起映像刺激の制作とその有用性の検証,電子情報通信学会 HCG シンポジウム 2023 論文集,No.A-4-3, 2023.