TsuKuBa 年史-TsuKuBa History -

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分岐光ファイバ損失測定技術

2017年(平成29年)

光アクセス線路の大部分には、PON(Passive Optical Network)が採用されており、所外光スプリッタを用いて光ファイバを複数のお客さまで共用する1対多のトポロジーが採用されています。このような光アクセス特有のトポロジーは、通信ビルから入射された試験光が所外光スプリッタで等しく分岐されてしまうために、お客さま宅側、すなわち、所外光スプリッタの下部側の光ファイバの状態は通信ビルから把握することが出来ず、保守作業において煩雑さを生む要因にもなっていました。

NTTアクセスサービスシステム研究所では、通信ビルから各お客さま宅までの所外光スプリッタを超えた分岐光ファイバ区間の測定を可能にする分岐光ファイバ損失測定技術を開発しました。開発技術には、従来の光パルス試験で用いられていた後方散乱光の代わりに、ブリルアン増幅† という光ファイバの現象を巧みに用いる工夫がなされており、お客様宅に設置されたタームネーションフィルタの反射と増幅用のポンプ光を分岐光ファイバ上で衝突させ、ブリルアン増幅利得を解析することで、分岐光ファイバ個々の損失情報を遠隔で計測することが可能です。 開発技術は、アクセス保守におけるトラブルシューティングに用いられる他、既設光ファイバの特性をエンドエンドで把握する手段としての利用が期待されます。

分岐光ファイバ損失測定技術の概要

図 分岐光ファイバ損失測定技術の概要

†:光が入射された石英系光ファイバ媒質内の音波によって入射光とごく僅かな(約10~11GHz)周波数の異なる光が発生する非線形現象を用いた増幅原理。発生周波数は光ファイバの温度やひずみに依存することから、従来は主にセンサに用いられてきた。

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