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路面配線光ファイバケーブル設計技術

2022年(令和4年)

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本研究では、路面上に溝を設け布設可能な光ファイバケーブルの設計技術を確立しました。

これまで、光通信サービスFiber-To-The-Home(FTTH)を実現するため、NTTでは架空や地下へ配線する光ファイバケーブルを実用化し、基盤設備(電柱・管路)を活用しながら光ファイバを整備してきました。
今後の光ファイバ需要はさらに多様化が進展すると考えられ、例えば5G整備に必要な膨大な基地局は交通信号機・街路灯等への設置も見込まれるなど、そこに光ファイバを届けるための新たな基盤設備(電柱・管路)の整備も必要となります。
そこで、基盤設備(電柱・管路)に依存せず柔軟かつ経済的な光ファイバ提供を可能にするため、路面上に形成した溝、または路面上にあらかじめ布設層を配置し、その布設層の切り込みに光ファイバケーブルを簡易に配線する新しい布設形態と、この布設方法に適用可能な光ファイバケーブルを検討しました。(図1)

布設形態の概要と路面配線光ファイバケーブル構造

図1 布設形態の概要と路面配線光ファイバケーブル構造

溝への布設が可能な光ファイバケーブルは、溝に収容可能な細径性と、布設中に作業者に踏まれる側圧や溝へ布設後に車両に踏まれる側圧によって通信品質に影響がでないよう光ファイバに加わる側圧を抑制することが求められます。
まず、溝に収容可能な細径性を実現するため細径高密度構造※1を前提とすると、スロットロッド※2を使用しない構造のため、別の方法によって光ファイバに加わる側圧の抑制が必要となります。そこでケーブル外被の厚さ(ケーブル外径)と材質を制御することとしました。図2に示す通り、布設作業時にケーブルが露出した状態で光損失を生じない側圧(許容側圧)と、布設後に車両の輪荷重において光損失を生じない側圧(許容側圧)いずれも満たす設計範囲としてケーブル外被の厚さ(ケーブル外径)と材質の取り得る範囲を明らかにしました。
本技術により、電柱・管路等に依存せず柔軟かつ経済的に光ファイバケーブルを提供可能となります。

ケーブル外径と光損失を生じない側圧(許容側圧)の関係

図2 ケーブル外径と光損失を生じない側圧(許容側圧)の関係

※1細径高密度光ケーブル
https://group.ntt/jp/newsrelease/pdf/news2012/1207/120704a.pdf
※2スロットロッド
円柱状のプラスチックロッドに溝(スロット)を設けた部材である。光ファイバ心線はスロット内に収納されている。スロットロッドの構造を適切に設計することで、光ファイバ心線に加わる側圧を抑制可能である。

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