本技術は、デジタルカメラで撮影した画像から、マンホール鉄蓋の点検項目の1つである上蓋の凹凸模様の摩耗度を自動的に判定するものです。2013年に開発したマンホール鉄蓋の段差検知技術と併用して用いることで、画像を用いたマンホール鉄蓋点検を実現します。
(1) 開発の背景
NTTは全国で約68万個のマンホールを保有しています。その入孔口となる鉄蓋の多くは車道に設置されているため、長年の車両通行によって上蓋と受枠との間に段差が発生し、騒音や振動の原因となる場合があります。また上蓋に具備されているT字の凹凸模様が摩耗すると、タイヤと上蓋との間の摩擦力が低下する可能性があります。これらのことから、マンホールの鉄蓋に対しては定期的な点検と適切な補修、更改が実施されています。
マンホール鉄蓋に生じた段差と摩耗に対する従来の点検では、ノギスなどを使った直接計測が行われており、鉄蓋のみの点検であっても図に示すような保安施設、規制車、ガードマンなどを準備した上での車道上作業が不可欠でした。そのため、点検の実施に要する費用と稼動が大きいことや、現場の安全確保が課題となっており、抜本的な解決策が求められていました。
(2) 開発技術の概要
現場作業の効率性と点検作業の安全性の向上を目的として、鉄蓋を歩道からデジタルカメラで撮影し、その撮影画像に写り込んだ鉄蓋のT字の凹凸模様の摩耗度を推定するソフトウェアを開発しました。本ソフトウェアは2013年に開発した段差計測ソフトウェアと併用できるため、1枚の画像からマンホール鉄蓋の段差計測と摩耗度推定を同時に実施することが可能となります。鉄蓋点検ソフトウェア導入後の現場で実施される点検作業は、歩道などから車道上の鉄蓋画像を撮影するのみとなり、鉄蓋1個あたりの点検効率と作業の安全性が大幅に向上します。