現在、コンクリート柱の貼紙防止シート敷設部については超音波装置により、ひび割れの有無を確認していますが、伝播波形の読み取りに高度な専門知識を要するため、点検者に熟練度が必要不可欠となっています。そこで、76.5GHz帯のミリ波を用いた透視イメージング技術を世界で初めてコンクリート柱の貼紙防止シート下に隠れたひび割れ点検技術として実用化しました。本技術の概要を図1に示します。本技術は、コンクリート柱の表面にミリ波を照射すると、ひび割れの無い箇所では一定強度の反射波が戻ってきますが、ひび割れのある箇所では入射したミリ波は四方へ散乱するため、入射方向に戻る反射波(後方散乱波)は強度の小さな信号として観測されるという現象を利用しています。それに加えて、受信信号からコンクリート表面の透視画像を生成し、その透視画像からひび割れを自動抽出するソフトウェアを開発し、点検者の技能や熟練度によらず、ひび割れの有無がひと目で分かるようになりました。
図2 装置一式 |
図3 点検・解析 |