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露出管路の絶対座標取得技術

2020年(令和二年)

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本技術はインフラ設備の高精度絶対座標管理に向けた中核技術である「露出管路の絶対座標取得技術」になります。GNSS装置及び測量棒を利用することで地面よりも低い掘削溝内の管路の三次元座標を効率的に取得できます。

従来はトータルステーションという測量器具により公共基準点などの既知座標を基準として角度・距離等を計測する座標取得方法が主流でした。近年は各国が保有する人工衛星を用いるGNSS(Global Navigation Satellite System)による測量が普及してきた。全国の管路を対象に大量の座標取得が必要となるためGNSSを用いた測量を実施したいのですが、適用するには課題が2点あります。1点目は掘削溝スペースが狭いという課題です。管路を直接測位するスペースが溝内にないため、掘削溝外から溝内の管路位置を取得する方法が必要です。2点目は、全国で行われるため都市部などでは反射波(マルチパス信号)によりGNSSの信号受信精度が低下するという課題です。今回これらの課題を解決する技術を開発しました。
1点目の掘削溝スペースが狭いという課題に対しては、新たに掘削溝の中に入らずに位置座標を取得する装置および方法を開発し、効率的・高精度に露出管路の座標を取得できるようになりました。具体的には (図1)のように掘削溝に入孔しなくても、掘削工の横から座標を取得できるように、衛星からの電磁波を最大限受信できる機構を有し、また、通信管路敷設工事の掘削溝サイズに合わせた位置補正形状として棒の長さの伸縮を変化させ、深さ補正の機構を有した装置を開発。これにより、掘削溝に入孔することなく、露出している管路の絶対座標が取得できるようになります。

露出管路の絶対座標取得技術

図1 露出管路の絶対座標取得技術

また、2点目の反射波への対策としては、新たに衛星信号選択アルゴリズムを開発しました。日本上空には、現在約40以上の人工衛星(GNSS衛星)が飛来しており、一般的に測量に用いられる高価格な2周波GNSS受信装置はそれらの衛星から2つの異なる電磁波を受信し、位置を演算するため高精度な座標取得が実現されています。しかし、演算ソフトウェアなどを含め高価格でした。そこで、AS研ではあまり測量に用いられていない1周波GNSS受信装置に目を付け、安価で高精度な座標取得技術の確立に向けて研究を進めました。
1周波GNSS受信装置はその名の通り、人工衛星から1つの周波数の電磁波のみ受信するため、位置精度を高めるためには、品質の良い衛星信号をより多く受信する衛星選択アルゴリズムが必要になります。そこでAS研では新たに高遮蔽用SNRマスク技術を開発し、従来SNRマスクと切り替えて使うことで高精度な測位を可能としました。

マルチパス信号対策の衛星信号選択アルゴリズム

図2 マルチパス信号対策の衛星信号選択アルゴリズム

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