ST-LONG(ストロング)管
2008年に開発した橋梁添架管路補修技術(I&C工法)では、補修管の強度不足により大きなたわみが発生するため、取替えの補修長および支持間隔が大きく制限されていました。そこで、たわみを抑制するために、効率的に剛性値を向上させたST-LONG管(Square Type Long Length FRP Pipe)を開発しました。具体的には、図に示すとおりFRP補修管の断面形状を中空矩形とすることで、材料・重量の増加をできる限り抑えて断面剛性を向上させました。また、管成形時のガラス繊維方向を管軸方向とすることで、鉛直荷重に対する材料剛性も向上させました。この成形方法は、任意の断面形状および管材長に対応できるため、複雑な断面形状を有する長尺管もコストをかけず製造できます。これにより、FRP補修管のたわみは大幅に抑制され、補修長、支持間隔ともに既存設備の最大長である5.5mまで取替え補修を可能としました。
狭隘箇所切管施工技術
管路同士の隙間が30mm未満の狭い箇所では、切管工具が取り付けできず腐食劣化した管路を切断・撤去できないため取替え補修もできませんでした。また、切管時のケーブル防護も、防護治具の管内挿入が困難であったため切管工具刃先食い込み長を手動で調整するという作業者の感覚に頼った方法しかなかったのが現状でした。そこで、図に示すように、切管工具の切断部を薄型化することで、理論上最も狭い隙間である継手同士が互い違いで密着した間隔(12.5mm)まで取り付け可能な切管工具を開発しました。また、駆動部をギヤ方式の電動ドリル駆動とすることで、施工時間もおよそ1/3に短縮しました。ケーブル防護に関しては、ケーブル有無確認のために切管前に開けている穴(以下、小穴)を利用する簡単で確実な方法を開発しました。具体的には、小穴から細長いシート状の防護治具をハンマーで打撃しながら挿入し、ケーブルに巻付けて切管工具の刃先以上浮かせる方法です。