10G-EPONシステムにおける伝送路バジェット拡大のためのOLT用光トランシーバを開発しました。開発した光トランシーバを用いることによって、本システムにおける10G-OLT~10G-ONU間の伝送路バジェットを拡大でき、より遠方のお客様にまでサービスを届けることが可能となりました(図1)。(10G-OLT~GE-ONU間のパワーバジェットは、これまでのバジェットを維持)
10G-EPON ONUに搭載するソフトエラー対策技術を開発しました。この技術は、ONUがソフトエラーを検出し、自律的な電源OFF/ONによって再起動を行うものです。本機能により、ONUのソフトエラー故障によるユーザからの問合せと、通信事業者の故障対応に要する稼働の削減が見込まれます。
宇宙から降り注ぐ宇宙線が、大気圏にある酸素や窒素に衝突すると、中性子が発生します。この中性子が電子機器の半導体デバイス内のシリコン原子核と衝突すると、電気的ノイズが発生し、メモリがビット反転する事象「ソフトエラー」を引き起こし(図2)、場合によってはONUの通信断となる可能性があります。
一般的にソフトエラーは電源OFF/ONで回復することもあり、故障の切り分けや特定が難しく、面的かつ数多く展開されてるONUにおいてはソフトエラー故障の対応稼働の効率化が重要です。そこで、10G-EPON ONUでは、ONU自身がソフトエラーを検出し(図3)、自律的に電源OFF/ONによる再起動を行う機能(自律リセット機能)を開発しました。
さらに、ITU-T K.130に準拠した中性子照射試験(ONU1台あたり約11 万年間、自然環境で中性子線にさらすことに相当)を行い、自律リセット機能の効果を測定しました。1,000万台展開されると想定した場合、1年間で約4,200回分の故障対応の稼働削減が見込まれることを確認しました。ソフトエラー対策技術を搭載した10G-EPON ONU(図4)は、2020年からNTT東西で「フレッツ 光クロス」として提供されています。