TsuKuBa 年史-TsuKuBa History -

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新アクセスシステムアーキテクチャ(FASA)のAPI標準化およびOSS化

2018年(平成30年)

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NTTアクセスサービスシステム研究所では2016年2月に将来光アクセスシステムの新コンセプト「FASA(Flexible Access System Architecture)」を発表し、研究開発を進めてきました。2018年12月、ブロードバンドサービス分野に関わる業界団体Broadband Forum(BBF)において、光アクセスシステムの適用領域を格段に拡充する「帯域割当制御(DBA)機能」のソフトウェア部品化を実現するAPI(Application Programming Interface)仕様を規定した国際標準が公開されました。

※報道発表 https://group.ntt/jp/newsrelease/2019/02/13/190213a.html

さらに、同APIを、FASAにおける局内装置(OLT)構成モデルの1つであるモジュール型OLTに適用しDBA機能の入れ替えを行うと共に、オープンソースソフトウェア(OSS)を活用したコントローラからOLTの各種設定を行う実証実験に成功しました。

(1) 研究背景
将来光アクセスシステムの柔軟性の向上に加え、開発期間および開発費用の削減を目的とし、BBFおよびONF(Open Networking Foundation)などの国際標準化団体およびOSS開発団体において、同システムの機能部品化を実現するために必要となるアーキテクチャやインタフェースの仕様化およびOSSの開発が、活発に行われています。NTTでは、リアルタイム性が高くソフトウェア部品化が難しいとされていたDBA機能のソフトウェア部品化に成功すると共に、同部品化に必須となるAPIの普及促進を図るため、2016年10月BBFにて新規プロジェクトストリーム(PON Abstraction Interface for Time-Critical Applications)を立ち上げ、同プロトタイプ検証機の開発から得られた知見に基づき、さまざまなパートナーと共同で同API仕様の国際標準化に取り組んでまいりました。さらに、同APIが実装されたモジュール型OLTを、OSSを活用したコントローラから各種設定を行うことにも取り組んでまいりました。

(2) 技術概要

2-1 ソフトウェア部品化されたDBA機能の入替えを可能とするAPIの国際標準化

サブミリ秒オーダでの高速処理を必要とするDBAの機能部を、サービスに依存しない高速処理部と、サービス毎に仕様の異なるアルゴリズム部とに分離し、APIを介してそれらを連携して動作する方式をBBF会合にて提案しました。会合での審議および海外キャリアと協調活動を経て、同APIの仕様は、BBF文書 TR-402およびTR-403として公開されました。TR-402では、5G以降のモバイルシステムの基地局収容を含むユースケースなどDBA機能のソフトウェア部品化に関する概要と、同APIの機能要件が規定されました。また、TR-403では、同APIの詳細(フォーマットおよび性能要件)が仕様化されました。このようなDBA機能の部品化を実現するAPI仕様が国際標準として普及することにより、光アクセスシステムの適用領域拡大に大きく貢献できると考えています。

※BBF TR-402 https://www.broadband-forum.org/technical/download/TR-402.pdf
※BBF TR-403 https://www.broadband-forum.org/technical/download/TR-403.pdf

2-2 OSSベースのコントローラによるモジュール型OLTの設定

工場および大学・オフィスビル内などの構内LAN などへの適用を想定したモジュール型OLTを用いて、OSSを活用したコントローラによる各種設定の実証実験を行いました。このコントローラは、OSS開発団体のONF(Open Networking Foundation)により一般公開されている経路設定等の機能を有するONOS(Open Network Operating System)と、OLTハードウェアの仕様差異を抽象化するVOLTHA(Virtual OLT Hardware Abstraction)を使用しました。今回、同コントーラによるモジュール型OLTの起動および経路設定に加え、OLTコンピュート内に格納されたOLT諸機能のうちDBAソフトウェア部品の入れ替え実証実験に成功しました。このようなOSSの活用は、様々なサービス要件に迅速に対応可能なアクセスシステムの実現に加え、同システムの効率的な開発が期待できます。

モジュール型OLTにおいて、BBFで標準化したAPIを介してソフトウェア部品化したDBA機能を、サービス要件に応じて入れ替えるイメージ

図1 モジュール型OLTにおいて、BBFで標準化したAPIを介してソフトウェア部品化したDBA機能を、サービス要件に応じて入れ替えるイメージ

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