TsuKuBa 年史-TsuKuBa History -

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新アクセスシステムアーキテクチャ(FASA)の帯域制御ソフトウェア部品入替え技術

2018年(平成30年)

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NTTアクセスサービスシステム研究所では2016年2月に将来光アクセスシステムの新コンセプト「FASA(Flexible Access System Architecture)」を発表し、研究開発を進めてきました。今回、FTTH(Fiber to the Home)サービスで用いられている光アクセスシステムの性能をつかさどる帯域割当制御(DBA)機能をソフトウェア部品化した局内装置(OLT)プロトタイプ検証機を実現し、サービス要件に応じてDBA機能を入れ替える実証実験に成功しました。

※報道発表 https://group.ntt/jp/newsrelease/2018/11/20/181120a.html#a1

(1) 研究背景
現在FTTHサービスに利用されている光アクセスシステムは、FTTHサービスに特化した専用装置として開発されており、新たな要件を持つ別のサービスに適用するには、装置(主にOLT)全体の開発が必要になります。そのため、新機能を追加するのも迅速な対応が困難という課題や、利用される数量が少ない場合にはコスト削減が難しいという課題がありました。一方、従来より多くの基地局を設置する必要のある5G以降のモバイルネットワークを効率的に構築するために、光アクセスシステムによる基地局収容が期待されています。
FASAでは、アクセスシステムを構成する機能を徹底的に部品化し、それらを自由に組み合わせることによって、サービス品質を維持しながら、新たに必要な機能をサービス要件に応じて柔軟に、かつ迅速に組み込むことを可能にすることをめざしています。

(2) 技術概要

2-1 DBA機能のソフトウェア部品化技術

DBA機能は、変動するユーザの帯域要求に応じて各ユーザへの帯域割り当てを行うため、サブミリ秒オーダでの高速な処理を必要とします。高速な処理を実現しながら自由な入れ替えを可能にするために、DBAの機能部をサービスに依存しない高速処理部と、サービス毎に仕様の異なるアルゴリズムとに部品化し、前者をハードウェア部に、後者をソフトウェア部に実装しました。その結果、 DBA機能は高速な処理を実現しながらも、サービス要件に応じて機能を入れ替えることが可能となりました。

2-2 2つのOLT構成モデル

PONシステムを多様な利用シーンで利用可能とするために、2つのOLT構成モデルを定義し、それぞれの構成モデルにあったOLTをプロトタイプ検証機として開発しました。
1つ目はボックス型OLTです。これは、通信事業者の収容局内などの環境下で用いることを想定しており、従来のFTTHサービスに加え、5Gモバイルシステムなどへの適用が期待できます。
2つ目はモジュール型OLTです。これは、従来のOLTの機能のうち、ハードウェアによる実現が必須となる機能のみを小型のモジュールに収めたもので、ソフトウェア部品化されたOLT機能が格納された汎用サーバとの組み合わせにより、工場および大学・オフィスビル内などの構内LANなどへの適用が期待できます。
2-1に記載のDBA機能のソフトウェア部品化技術と組み合わせることで、サービス要件に応じて開発したDBA機能がボックス型OLTにもモジュール型OLTにも搭載することが可能になりました。これによりサービス展開の柔軟性、迅速性が格段に上がることが期待できます。

サービス要件に応じてソフトウェア部品化した帯域制御(DBA)機能を入れ替えるイメージ

図1 サービス要件に応じてソフトウェア部品化した帯域制御(DBA)機能を入れ替えるイメージ

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