将来のモバイルネットワークに向けて、時分割複信(TDD)方式が適用される無線基地局を収容する光ファイバ回線の経済化が重要な課題になります。NTTでは、モバイルサービスと他サービスに同一のPassive Optical Network (PON)システムを適用することで、光アクセス回線を低コストに提供可能な技術を確立しました。
(1) 研究背景
モバイルネットワークでは、無線基地局を、デジタル信号処理を担う親局と無線送受信を担う子局に分割し、その間を光ファイバで接続する基地局構成の適用が進められています。この親局と子局の間の光アクセス回線はモバイルフロントホールと呼ばれており、ポイント・ツー・ポイント接続がなされています。このため、PONシステムを用いて、複数本の光ファイバを集約することで、光アクセス回線を低コストに実現することが重要です。
(2) 技術概要
TDD方式の無線基地局(子局)と他サービスのゲートウェイを同一PON上に収容します。モバイルサービスのみならず、他のサービスを収容することで、収容数を増加させ、更なる低コスト化に貢献できます。他サービスは、TDD方式の無線基地局が未使用の時間帯のみデータ転送が行われます。これにより、モバイルネットワークへは、遅延等の影響を与えずにPON適用を実現します。