従来の時分割多重(TDM)方式に加え、波長分割多重(WDM)方式を導入することにより、経済的な大容量化と様々なサービスへ対応可能な将来光アクセスシステムNG-PON2が、2015年にITU-Tで標準化(G.989シリーズ)されました。
NG-PON2は、既存の光伝送路上で従来の一般家庭向け(マスユーザ)サービスだけでなく、ビジネスやモバイルサービスなどに活用することが可能です(図)。また、これまで標準化されたPONシステム(GE-PONや10G-EPONなど)および映像配信システムとは異なる波長帯を用いているため、これらのPONシステムなどが導入された光伝送路上での共存が可能です。
NG-PON2は、40Gbit/s級のTWDM-PONを基本システムとし、サービスの拡張性を強化するためにポイントツーポイント(PtP)WDMオーバレイもオプションシステムとして仕様化されました。
TWDM-PONは、1つの波長を複数のユーザで共有するため、一般のご家庭にブロードバンドサービスを経済的に提供可能です。また、TWDM-PONでは、トラヒック量に応じて運用する波長数を柔軟に増減することによる低消費電力化や、ある波長の運用に支障が生じた際には他の波長に切り替えて通信断絶を防ぐ高信頼性化を図ることが可能です。さらに、PtP WDMオーバレイは、1つの波長を占有することにより、伝送遅延要求の厳しいモバイルサービスなどへの適用が可能です。今後は製品化開発が進み、世界的な市場が形成されることが期待されています。