FTTHエリアのさらなる拡大化に向け、GE-PONのOLTとONUの光パワーバジェットの拡大を進めてきました。
(1) OLTに高性能な光送受信器を実装することによってコストアップしても、その分を複数のONUでシェアできるため、まずOLT側の光送受信機の開発を先に行い(図1)、長延化対応OLTとして2010年にNTT東西に成果提供しました。
・高出力レーザダイオードと、高効率非球面レンズの採用により下り送信出力の3dB向上を実現
・受信器における増幅制御回路と、TIA(TransImpedance Amplifier)の変更により上り受光感度を3dB向上させることで、上下方向とも光パワーバジェットを3dB拡大して32dBを実現
これにより設備センタから7km以上のエリアにもFTTHサービスを展開することが可能となりました。
(2) ONUを個別に長延化展開できるようにするため長延化対応ONUを開発し(図2)、2011年にNTT東西に成果提供しました。
開発したONUはOLTとほぼ同じですが、お客様宅内に設置される機器の送信器レーザの安全性ということを考慮(レーザ製品の安全性規格「クラス1」)しつつ、5dBmに出力を向上させました。
受信器ではアバランシェ・フォトダイオードを採用することで下り受光感度の5dB向上を図ることで光パワーバジェットを5dB拡大しました。
以上から、長延化対応のGE-PONシステムでは、最大37dBの光パワーバジェットとなり、世界的に見ても高性能な値となっています。
32分岐の光スプリッタを用いたGE-PONシステムでも、提供設備センタからの距離が20 kmを超えるようなエリアへも対応が可能になりました。