9.バイオ・
メディカル

ICT とAI を巻き込んだ新たな医療システムのかたち

バイオ・メディカルテクノロジーとは、もはや生物学や化学、医学のなかだけで開発されるものではありません。現実空間とサイバー空間の融合が進めば進むほど、バイオ・メディカルがかかわる範囲もまた広がっていきます。とくに近年注目されているのは、ICT や AI と融合することで実現するプレシジョンメディシン(精密医療・個別化医療)でしょう。

これからの医療は独立した領域ではなく、さまざまなデータと紐づきながら大きなエコシステムを形成していきます。たとえばプレシジョンメディシンもそれ単体で成立しているのではなく、身体の異常検知・予知を可能にする高精度な常時モニタリングが不可欠ですし、遠隔 AI 診断や遠隔触診・聴診といったオンライン医療が機能することでその効果が発揮されます。あるいは、リアルタイムに生体情報を解析することで無理なく健康を増進する行動を促すナチュラルケアの技術もまた、プレシジョンメディシンの実現に大きく寄与します。

わたしたちもまた、ICT やAI をバイオ・メディカルテクノロジーと融合させることでデータ駆動型のナチュラルな医療ヘルスケアの実現をめざしています。個人のゲノム情報を解析し潜在的な疾病リスクの予測や疾病メカニズムの解明をAI によって行うほか、日常の行動や日々の生体情報を分析するために、hitoe® 心電図計測や非侵襲血糖センサなど高精度リアルタイムバイオモニタリング技術の開発に取り組んでいます。

加えて、よりナチュラルな医療を実現すべく、生体内に自然に溶けこむ新素材の研究開発も行なっています。自然に身体と融合するインプラント材料や生体機能を補完する人工神経ネットワークや人工細胞チップの作製、あるいはタンパク質やウイルスなどの超高感度バイオセンシング技術の研究開発も進めています。このように ICT や AI、生体技術といった多角的なアプローチを試みることではじめて、未来のバイオ・メディカルを創造できるとわたしたちは考えています。

注目のトピック
東大病院との共同研究
東大病院との共同研究

わたしたちは東大病院 22 世紀医療センターとともに、同病院の保持する大規模コホートデータとわたしたちのデータ分析技術をもとに共同研究を開始しています。本研究では運動器の障害のために要介護リスクが高まる「ロコモティブシンドローム」の影響因子の解明や、生活習慣病・認知症などの疾患との相関性の解明、さらには効果的な介護予防・介入方法の検討とその社会実装をめざしています。

  • キーワード
  • 個別化医療技術(プレシジョンメディシン)
  • リアルタイムバイオモニタリング
  • 生体適合性材料