8.量子
コンピューティング

新しい計算原理による新たな情報処理の可能性

従来型のコンピュータを遥かに上回る性能をもつことで知られており、ほぼすべての産業での活用が見込まれている量子コンピューティング。現在は欧米や中国など各国の企業が独自のコンピュータ開発を進めていますが、わたしたちも同様に革新的なコンピューティング技術の開発を進めています。

大規模かつ複雑なデータ構造をリアルタイムに処理し、現状をはるかに超える利便性を社会へ提供することは、従来の計算技術だけでは極めて困難です。有限の時間とエネルギー制約のなかでIOWN のような次世代コミュニケーション基盤を発展させるうえでも、高速な計算処理技術は極めて重要なものだといえるでしょう。

わたしたちの研究の取り組みは大きく3 つに分かれています。まず、現在のコンピュータ(ノイマン型)と同じ構成で、これまで蓄積されたソフトウェア技術を有効活用できる「ノイマン型ポストムーアコンピューティング」。光インターコネクト技術やアクセラレータ技術を活用し、現在のCPUやGPU の速度や消費電力の限界を超える新しいデバイスの研究を進めています。同時に、現在のコンピュータとまったく構成の異なる「非ノイマン型ポストムーアコンピューティング」にも取り組んでおり、ここでは光の物理的性質を利用して問題を高速に解く「LASOLV」の研究開発を続けています。すでに動作している LASOLV の大規模問題適応と安定化技術や、さまざまな問題を LASOLV へと適応させるミドルウェア技術がこの方向の研究に位置づけられます。

3 つめは、これまで挙げたふたつのポストムーアのさらに次の時代を見据えた「新原理による高速高効率な量子情報処理」です。量子力学に特有な量子もつれなど、現在使われていない物理現象を利用した革新的な情報処理技術をわたしたちは探求しています。量子情報処理の理想系から、現実の物理系までをつなぐ量子理論研究を通じて新たな計算技術を確立することで、スマートな世界では「情報」の扱われ方そのものも大きく変わるかもしれません。

注目のトピック
LASOLV
LASOLV

まったく異なる概念に基づき提案されている計算手法「イジング型計算」。多くの最適化問題に適用できるこの計算を実現するため、わたしたちは光を使った新しいイジング計算機である「コヒーレントイジングマシン」を実現しました。通信網や交通網、ソーシャルネットワークなど、社会を構成するさまざまなシステムが大規模化/複雑化する時代にあって、コヒーレントイジングマシンの実現はより高速な最適化問題の解決を意味します。

  • キーワード
  • コヒーレントイジングマシン(LASOLV)
  • トポロジカル量子計算
  • 全光量子中継