更新日:2021/12/17
サービス事業者の様々な要望に応じた専用ネットワーク(以下、NW)をNW事業者の設備を論理的に切り出して構築するNWスライスの実現に取り組んでいます。
NWを構成する技術や管理主体が異なる場合を含めて、エンドエンド(以下、E2E)でNWスライスを必要な時に必要なだけ自由に活用する世界を目指し、スライスゲートウェイ(SLG)機能の開発およびNTTグループ内外の企業や団体と実証実験を行っています。
3GPPでの5G(NWスライスも対象)の標準化、ベンダやコミュニティでの開発が進み、5GシステムにはNWスライス機能が実装されはじめています。
一方で、異なるNWを跨ぐE2E NWスライスの実現には既存NW設備へのNWスライス機能追加やNWスライス毎の通信条件をあわせる方式の整理といった課題が残っています。これらとあわせ、NW事業者がサービス事業者からの申込みにより行うNWの制御を、サービス事業者が直接制御する手段も必要とされてきています。
NWスライスを実現するためには、各通信に対して帰属するNWスライスを識別し、当該NWスライスが満たすべき遅延や帯域等の通信要件に応じた品質制御(優先制御や帯域制限等)の適用が必要となります。
現在検討しているSLGは、NWスライスを提供するための識別・制御を行い、NWをオーバレイしてNWスライスを提供させる機能部です。SLGをNWの端点に導入することで、NWスライス提供機能のないNWでも高価な通信キャリア向けのNW設備に手を加えることなく、より安価にオーバーレイする方式でNWスライスの構築を可能とします。
SLGは、異なるNWの間でプロトコル等の差分を吸収する機能も持ち、E2E NWスライスの構築を可能とします。更にNWスライスの運用で必要となるNWスライス毎の遅延や帯域等の品質情報の計測、通知機能を具備します。
SLGはサービス事業者からのオンデマンドな操作を前提としたAPIを有するコントローラ機能部を持ちます。サービス事業者は特定の端末やアプリケーションが必要とする通信要件のNWスライスを選択することで、サービス利用者により高度な利用体験を提供することが期待できます。
開発中のSLGはOSS(Open Source Software)を活用することで、ベンダ製品へのNWスライス機能追加のカスタマイズを行うことと比べ、初期導入コスト低減やベンダロックインの回避にもつながります。
NWスライス
それぞれのサービスがもつNWに対する要求条件に対し、共通的なNW設備を仮想的に分割(スライス)し、所望のNWとしたもの
NWスライシング
NWスライスを生成・管理するための技術
スライスゲートウェイ(SLG)
NWスライス機能を持たない従来型のNWの端点に配備することで、オーバレイ的にNWスライスを構成するゲートウェイ機能
3GPP
(Third Generation Partnership Project) 世界各国・各地域の標準化団体により設立された移動通信システムの仕様の検討・作成を行う標準化プロジェクト、5Gシステムの仕様作成も実施
MEF
(Metro Ethernet Forum) 北米のキャリア、ベンダを中心としたキャリアイーサネット等の法人専用線・MBH(Mobile Back Haul)等の転送サービス・相互接続で実績のある標準化団体
NTTネットワークイノベーションセンタ 転送サービス基盤プロジェクト