更新日:2026/08/25
2019年に米国シリコンバレーに設立したNTT Research,Inc.は、基礎研究に注力し研究成果を上げることで、NTTグループの技術ブランドを高める取り組みを行ってきた。本特集では、NTTグループのグローバルビジネスのさらなる発展に向けて、新たな社会の要請に合わせた研究や、シリコンバレー的に社会実装にもチャレンジするNTT Research 2.0構想について紹介する。

NTT Research 2.0: シリコンバレーの熱をNTT Groupへ
シリコンバレーでは、大学等の基礎研究成果を基にしたStartupの例がいくつもあります。NTT Research,Inc.(NTT Research)が過去7年間行ってきた基礎研究においても、ビジネス化可能な技術が生まれてきています。またAI(人工知能)の大きな進展のように、社会の変化に合わせて研究テーマの見直しも必要となっています。本稿では、次の10年間に向けて、NTT ResearchがNTT Groupの発展に寄与するための展望について紹介します。

From Research to Reality──NTT Research 2.0で始動したビジネスインキュベーター「Scale Academy」と第1号プロジェクト「SaltGrain」
基礎研究が生んだ知見は、社会に実装されて初めてInnovationとなります。NTT Research,Inc.は創設7年目を機に、学術的な発明を市場価値へと転換するインキュベーター「Scale Academy」を立ち上げました。本稿では、その背景にある研究機関の新たな使命と、第1号プロジェクト「SaltGrain」が切り拓くデータセキュリティの可能性について紹介します。

白紙のデバイスに光で機能を書き込むプログラマブルフォトニクス
本稿では、光デバイスの機能(プログラム)を光を用いてリアルタイムに書き込むことができる新方式のプログラマブルフォトニクスの開発について紹介します。このデバイスは製造時には何の機能も持たない、白紙の板のような形状をしていますが、利用時にその表面に光パターンを照射することで任意の機能を書き込むことができます。これにより、1つのチップで数多くの複雑な機能を一挙に実装することが可能になりました。光コンピューティングや光量子への応用が期待されています。

ACIS ――急性心不全の自律的な治療制御技術
NTT Research,Inc. Medical & Health Informatics Laboratoriesでは、急性心不全を対象とした自律的治療システムの臨床応用をめざした研究開発に取り組んでいます。薬剤や医療機器を統合的に制御する治療アルゴリズムと、患者ごとの循環状態を再現するバイオデジタルツイン技術の融合により、複雑な治療判断を支援する新たな医療技術の実現をめざしています。本稿では、その研究背景と技術概要、および臨床応用に向けた取り組みについて紹介します。

知性の本質に迫る「AIの科学」
生成AI(人工知能)の急速な発展に伴い、その振る舞いの理解と安全性の確保が喫緊の課題となっています。Physics of Artificial Intelligence Groupでは、物理学・脳科学・認知科学を横断する「AIの科学」を通じて、AIの創発的能力やバイアスのメカニズムを解明し、信頼できる社会実装を支える科学的基盤の構築をめざします。