更新日:2026/03/17
本特集では、社会インフラの老朽化が進む一方で維持管理の費用と人員が減少傾向にあるという課題に着目し、安心・安全の確保が困難化しつつある現状を踏まえて、持続可能性に配慮した材料・デバイス技術の創出により安全性と経済性を両立した持続可能なインフラの実現をめざすNTTの研究開発について紹介する。

インフラを持続可能にする研究開発
NTT先端集積デバイス研究所 サステナブルデバイス研究部では、化学、物理の基礎知見をベースとする多種多様な技術分野の人材が、エンジニアリングやプログラミングなどのスキルをシームレスに組み合わせ、持続可能な社会の実現に資するサステナブル技術の研究開発に取り組んでいます。その1つがサステナブルインフラ技術です。NTTグループ内の通信インフラだけでなく社会インフラ全体を対象に、維持管理における安全性と経済性を両立したインフラの実現をめざしています。

通信インフラの適切な維持管理を実現するための設備個々の状態に基づく腐食劣化予測の試み
持続的に通信インフラを維持管理するためには、個々の環境下における腐食挙動を正しく理解し、劣化を予測することが大切です。本稿では、マンホール内に設置された金属部材を対象とし、マンホール内の環境を模擬した加速試験の検討を行うことで、マンホール内金属の劣化を予測する取り組みを紹介します。

通信インフラの長寿命化に向けたプラスチック材料の加速劣化試験に関する取り組み
屋外で使用されるプラスチック材料は、光・熱・水・応力が複合的に作用して劣化が進むため、インフラ設備の長寿命化には、耐候性に優れた材料を適切に選定できる評価技術が不可欠です。本稿ではポリプロピレンを例に、耐候性を適切に評価する加速劣化試験の確立に向けた取り組みを紹介します。

通信インフラの長寿命化を実現するレーザ-錆-鋼材間の現象解明の試み
通信インフラ設備の長期的な健全性維持には、再劣化を抑える確実な補修が重要です。本稿では、レーザ照射による錆除去と鋼材表面の改質に着目し、形成される酸化鉄の特性評価とその生成過程の理解を通じて、補修後の状態を長期間維持するための素地調整技術の確立に向けた取り組みを紹介します。

通信基盤設備の研究開発と社会インフラへの展開
NTTアクセスサービスシステム研究所シビルシステムプロジェクトでは通信を支える基盤設備を対象に、材料・構造に基づく劣化メカニズムの解明から、耐震対策、被災予測、AI(人工知能)を活用した点検・維持管理技術の研究開発を進めてきました。近年はこれらの知見を社会インフラ分野へ展開し、維持管理の高度化や効率化に貢献する技術の創出にも取り組んでいます。本稿では、通信基盤設備における研究開発の変遷とともに、画像診断や被災予測、SAR(Synthetic Aperture Radar)衛星を活用した予兆検知技術を紹介します。