更新日:2019/07/31
AIの実用化と共に、脳の情報処理を模した機械学習に注目が集まっています。
一方で、機械学習は大量の演算処理を必要とするため、電気演算による消費電力や処理速度が問題となりつつあります。
光干渉を用いて小脳を模擬した情報処理を行う「光リザーバコンピューティング」技術の研究を進めています。
超高速かつ低電力な処理が可能ですので、瞬時的な判断が必要なAIとしての応用を模索していきます。
機械学習の高速化・高効率化に向けて、脳の神経回路を模した人工ニューラルネットワーク(ANN)を光回路を用いて実現する技術が注目を集めています。ANNでは各ノード(神経細胞に相当)に入力された信号に重みを付け、適当な非線形関数を通し、次のノードに伝播させます。本技術では演算に光の伝搬・干渉を用いるため、従来のディジタル電気演算に比べ、圧倒的な低電力化・高速化が期待できます。また、従来のANNでは基本的に全てのノードについて重みを変更していたため、光でこれらの演算を全て実施するのは困難でしたが、本技術では入力層・中間層をランダムに結合し出力層のみを学習するリザーバコンピューティングに着目し、学習を可能としております。現状では、文字認識等の単純な問題しか学習できませんが、今後は光回路の大規模化により種々の問題に対応できるように検討を進めていきます。
NTT先端集積デバイス研究所 光電子融合研究部