更新日:2015/10/29

    視覚メカニズムに基づく質感の制御方法NTTコミュニケーション科学基礎研究所

    背景・従来課題

    近年の映像メディアでは実写とCGの融合が進んでいますが、ゲームなどインタラクティブなメディアにおけるCGの品質はなかなか向上しません。これは従来の技術が光沢感や透明感といった表面の「質感」を再現するために膨大な光学計算を必要としていたためです。

    概要

    わたしたちは人間が映像中の単純な特徴を使って質感を知覚していることを発見し、それを応用した簡単な映像処理だけで質感を操る技術を開発しました。

    本技術のアドバンテージ

    • 実装が簡単
    • 処理が高速
    • 特殊なハードウェアは不要

    利用シーン

    • CG分野
    • 広告
    • インテリア

    解説図表

    技術解説

    1. 映像における質感操作
      コンピュータ・グラフィクス(CG)の分野では、表面の質感を映像のなかに再現するため、表面に当てられた光の反射や散乱を膨大な計算によって再現する方法が用いられてきました。しかし、わたしたちは最近、人間の脳が表面の光沢感や明るさを判断するとき、映像のもつ単純な特徴を利用していることを発見しました。本技術は、逆にそのような特徴を画像処理で強調したり取り除くことで質感を制御する、というものです。本技術は、ゲームやチャットなど速度の求められるCGの質感を向上させたり、写真の質感(たとえば肌)を自動的に補正することに利用できると期待されます。

      光沢感: 画像の輝度ヒストグラムを正(負)の方向に歪めると光沢が増す(減る)。
      透明感: 表面の映像をハイライトとマット(本体)の成分に分け、マットの成分の輝度ヒストグラムを反転させる、あるいはコントラストを減らす。
      金属感: 表面の映像をハイライトとマット(本体)の成分に分け、マットの成分の輝度ヒストグラムを部分的に反転させる。
      光沢の深み: 表面の映像をハイライトとマット(本体)の成分に分け、マットの成分だけをぼかす。
      肌や食べ物: 上記の方法で透明にした画像と、ぼかしたマット成分の画像を線形合成する。
      粘性感: 動画像の高時間周波数成分をカットすると、液体粘性が増す。
      透明液体感: 静止画像に特定の時空間周波数をもつ変形運動を付与すると、ユーザーに流動する透明液体印象を与えることが出来る。

    2. 変幻灯
      静止画像に白黒の動き成分を投影することで、静止画像を錯覚的に動かして見せることのできる光投影技術「変幻灯」の開発も行っています。変幻灯は、動かない既存の静止看板へ動きをつけたり、インテリアに水や熱気などの印象を演出したりするために照明としての利用が想定されます。また、解説図表の図にあるように肖像画の表情を変化して見せることもできます。

    担当部署

    NTTコミュニケーション科学基礎研究所 人間情報研究部

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