更新日:2014/03/18
本技術は、光ファイバを極めて高密度に実装し究極まで細く軽量化した光ケーブルの技術です。本技術を用いて、架空設備に適用する24~200心の自己支持型・非自己支持型ケーブルおよび引上区間に適用する100、200心の防水型ケーブルを開発しました。200心ケーブルでは、従来の光ケーブルと比較して外径約30%減、質量約60%減を実現しています。これらの光ケーブルは、架空区間に適用した場合、軽いという特徴を活かすことで牽引機等を用いずに敷設できます。また細いという特徴を活かすことで、管路などのケーブル敷設スペースに制約がある区間に適用した場合、従来より多くの心線を敷設できます。
これにより光通信網のさらなる効率的な構築が可能となります。
光ケーブルは、長期にわたる実使用環境下において安定な伝送特性や十分な信頼性を確保することが重要です。従来の光ケーブルでは、これらの特性を確保するため、光ファイバに曲げや歪などの外力が加わらないように、スロットロッドによって保護するように設計されていました。このため光ケーブルの細径化には制限がありました。
また、多心光ファイバケーブルを用いて光通信網を構築する場合、光ファイバ接続作業の効率化のため、複数の光ファイバを一括して接続する技術が不可欠です。そのため従来から複数の光ファイバを並列させ、一括被覆を施した光ファイバテープ(図2(b))が国内外で広く用いられています。しかし、従来の光ファイバテープは、構造上柔軟に変形しにくいため、高密度に収納した場合、光ケーブルの中で光ファイバに無理な曲げや大きな歪が加わり、光損失増加や破断の可能性が高まります。このため、多心光ファイバケーブルの細径・高密度化においては、曲げ損失やひずみの抑制と一括接続性の両立が重要な課題です。
本技術では、複数本の低曲げ損失光ファイバを部分的に接着した新構造の「間欠接着型光ファイバテープ」を開発しました。低曲げ損失光ファイバを利用することにより光ケーブル内に光ファイバを高密度実装した際に発生する光損失増加を抑制しています。
また間欠接着型光ファイバテープは、柔軟に変形できるため光ケーブル内に高密度に実装した際に光ファイバに加わる歪みを抑制することが可能です。
これらの技術により、光ケーブルの究極的な細径高密度化を実現しています。
低曲げ損失光ファイバ
光通信に用いられる一般的な光ファイバは、2つの異なる屈折率を有する石英ガラスから作られています。光ファイバの中心部には、「コア」と呼ばれる高屈折率部が形成され、その外周に「クラッド」と呼ばれる低屈折率部が形成されています。このような構造にする事で、光は高屈折率部であるコアに閉じ込められて進みます。低曲げ損失光ファイバとは、「コア」と「クラッド」の屈折率差を相対的に大きくする事で、光の閉じ込めを強くした光ファイバであり、一般的な光ファイバと比較して曲げによる光損失が生じにくいです。
NTTアクセスサービスシステム研究所 アクセス設備プロジェクト