技術入門

ネットワークイノベーションセンタにおけるオープンソース開発について

NIC ネットワーク制御ソフトウェアプロジェクト

金子 雅志(かねこ まさし)

#オープンソース#OpenStack Tacker#O-RAN

2024/6/28

ネットワークイノベーションセンタ ネットワーク制御ソフトウェアプロジェクトの金子です。

私たちのプロジェクトでは、ネットワーク制御システムの基盤技術を研究したり、IOWNの実現に向けたソフトウェア開発を行ったりしています。今日は、私たちが取り組んでいるオープンソース開発についてお話しします。

オープンソース開発って?

オープンソース開発って聞いたことありますか?簡単に言うと、ソフトウェアの元になるコードをみんなに公開して、誰でも自由にそのコードを見たり、使ったり、変更したり、配布したりできる開発スタイルのことです。

オープンソースのプロジェクトでは、インターネットを通じて多様な開発者がコミュニティに集い協力し合います。コミュニティのメンバーがバグを直したり新しい機能を追加したりすることで、ソフトウェアが継続的に改善していきます。この方法の良いところは、開発が透明でオープンになること。多様な視点やスキルを持つたくさんの開発者が参加できるので、バグが早く修正されたり、新しい機能が次々に追加されたりします。また、ユーザーも自分のニーズに合わせてソフトウェアをカスタマイズできるのも魅力です。

ネットワークイノベーションセンタでのオープンソース開発

最近では、多くの企業がオープンソース開発を採用しています。私たちのプロジェクトでも、一部のシステムをオープンソースで開発しており、オープンソースコミュニティにコードを提供したり、プロジェクトリーダーとして活動したりしています。

例えば、通信システムの仮想化(NFV*1)における仮想装置(VNF*2)の構築・運用を自動化するプロジェクト「OpenStack Tacker」に参加しています。このプロジェクトでは、NTTグループがO-RAN*4システムを活用した新しいビジネス展開や、IOWNの実現に向けた汎用的なVNF*2のコントローラ機能(G-VNFM*3)を開発しています。

オープンソース開発に取り組む意義

企業がオープンソース開発を採用する理由の一つは、外部のエンジニアと協力することでコスト削減が期待できる点です。また、私たち通信事業者にとっては、標準実装として公開することでシステム間の相互接続性を確保できること、オープン化によりプロダクトを広く普及させデファクトスタンダードになればベンダ個別仕様の装置が乱立する状況を回避できることも重要なメリットです。ベンダ毎に装置の仕様が違う場合、システム更改の際にサービス仕様や運用方法が変わってしまうリスクがありますが、我々の必要な機能を搭載したオープンソースがデファクトスタンダードとして存在すると、各ベンダへオープンソースを参考にした製品開発を推奨することで、結果としてベンダ製品の仕様をコントロールすることができます。一例として我々が開発に参画しているOpenStack TackerはO-RAN*4標準仕様のリファレンス実装に組み込まれたことで、さまざまな企業の製品との相互接続が可能になっています。これにより、特定のベンダに依存するリスクを回避したマルチベンダによるネットワーク構成が実現しやすくなります。

さらに、オープンソースコミュニティを通じて最先端の開発技術に触れ、グローバル企業のエンジニアと交流できるのは、エンジニアとして大きな成長機会です。私たちは、オープンソース開発を通してグローバルで活躍できるエンジニアを育てることが、NTTの将来の競争力向上につながると信じています。

さいごに

今回は、ネットワークイノベーションセンタにおけるオープンソース開発の取り組みをご紹介しました。これからもオープンソースコミュニティと協力し、NTTグループの競争力を高め、IOWNの実現に向けたプロダクト開発を進めていきます。

脚注(用語解説)

*1 NFV(Network Function Virtualization): ネットワーク機器を汎用サーバ上でソフトウェアとして実装する技術

*2 VNF(Virtual Network Function): ロードバランサーなどのネットワーク機器をソフトウェア(仮想マシン)として実装したもの

*3 VNFM(Virtual Network Function Management): VNFのライフサイクル管理を自動化する機能

*4 O-RAN(Open Radio Access Network): オープンな無線アクセスネットワークの標準アーキテクチャ規定

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