HOME > 技術解説 > 音声品質評価法 > 5.音声品質評価特性 > 5.3.遅延
音声の符号化および復号処理時間やパケットの伝送時間のために、音声が発話されてから受聴者側に音声が届くまでには一定の時間を要します。遅延時間は大きくなればなるほど会話がしにくくなり品質が劣化します。E-modelでは平均片道遅延時間としてT (Mean one-way delay of the echo path) [ms]を用います。また、平均片道遅延時間は、R値と同様にIP電話のクラスを判定する指標としても用いられ、TTC標準JJ201.01ではクラスAは100 ms以下、クラスBは150 ms 以下、クラスCは400 ms以下とすることが規定されています。
図5.3.1では、音声符号化としてG.711を用いたときの、平均片道遅延時間の変化によるR値の変化を示しています。平均片道遅延時間が200msより短い場合、遅延を意識せずに会話を実施することが可能なため、平均片道遅延時間の増加に伴う品質低下量はそれほど大きくありません。一方、片道遅延時間が200msより長い場合、発話タイミングが重なるなど会話が困難になるため、平均片道遅延時間の増加に伴い品質が大きく低下します。
(図5.3.1)平均片道遅延時間とR値との関係
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