屋外通信インフラの老朽化による保守コストの増大が課題となっており、信頼性・安全性を維持しつつ、経済性を向上させるインフラ保守技術が求められています。当グループでは各種インフラ材料の化学分析技術、加速試験技術、劣化予測技術、データ分析技術を基盤技術として、劣化予測/環境予測に基づく効率的な設備保全や、補修による延命化、材料変更による長寿命化により、サステナブルなインフラの実現に貢献する研究開発に取り組んでいます。 ・インフラ材料劣化対策技術 ・塩害地用塗料の高性能化 ・マンホール受金物の劣化推定技術

・どんな技術
NTTの通信サービスを支えるインフラ設備には、厳しい屋外環境においても高い安全性と信頼性が必要になります。また今後は、老朽設備の増加や保守人員の減少が進むと考えられ、通信インフラの保守管理についても、より一層の効率化が求められます。そこで私たちは、インフラ設備の材料劣化に関する対策技術(劣化予測、補修、長寿命化)を研究しています。

・何が特徴?
インフラ設備の安全性や信頼性を高めるには、様々な環境に晒されるインフラ材料を適切な方法で評価・分析し、劣化機構の解明や優れた材料の選定、対策技術の提案に繋げることが重要です。私たちは、電柱(コンクリート柱)内の鉄筋や、無線鉄塔などに用いられる塗料、屋外で用いられる金属材料やプラスチック材料の腐食・劣化状態を詳細に分析・評価し、その劣化機構を明らかにしたり、実際の環境で生じる劣化と近い現象を、より短時間で再現する加速試験を開発することで、材料の長期信頼性を正確に評価することを目指しています。そして、さらに、これらの分析・評価・加速試験技術を活用して、長寿命な材料の選定や補修方法の改善といった対策技術の研究開発にも取り組んでいます。
・何ができる?
このように、インフラ設備の材料レベルからの研究を行うことで、設備の高信頼化・長寿命化・環境負荷低減・メンテナンスコスト削減が可能となります。また、インフラ材料研究の知見を活かして、設備の劣化・故障に伴うリスク推定や予測を行うことで、これに基づいた保守の優先付けによる効率的な維持管理環境を実現することができます。
・どんな技術
近年、屋外インフラの老朽化による保守コスト増が社会的課題になっていますが、NTTグループにおいても亜鉛めっきの消耗した鋼構造物 (主に無線鉄塔)が増加しています。信頼性を確保しつつ、保守コストを低減するためには、低コスト・長寿命な塗料が必要になります。私たちは、亜鉛めっきが消耗した鋼構造物用の塗料であるジンクリッチペイント(高濃度亜鉛末塗料)に塩害地向けの添加剤を加えることで、耐腐食性の向上を実現しました※1 。 ※1: 本テーマはNTTデバイスイノベーションセンタ(DIC)と協力して実用化開発中です。

・何が特徴?
ジンクリッチペイントは亜鉛の粉末を含む塗料であり、塗膜に傷がついた場合、傷部分に亜鉛の錆びが「かさぶた」のような皮膜をつくることで、腐食の進行を抑制する「保護皮膜機能」を有しています。私たちは、海水成分との反応により、この保護皮膜が、より良質な保護皮膜となる添加剤を見出し、ジンクリッチペイントに添加しました。食品添加物としても使用される安全・安価な添加剤のため、安心して利用できます。また、このジンクリッチペイントと組み合わせる塗料として、塗料メーカに鱗片状顔料を添加した厚膜型エポキシ樹脂塗料の開発を依頼しました。これらの組み合わせ(図1)により、従来の重防食塗装(図2)と近い耐食性を実現しつつも、塗装回数を減らすことができ、塗装作業の工期短縮やそれに伴う人件費の削減にも成功しました。

・何ができる?
腐食に強い塗料を実現することで、塩害地における鉄塔などの鋼構造物の塗り替え間隔を長期化することができます。その結果、塗り替え工事の回数が減るため、長い目で見れば設備保守に必要なコストを大幅に削減することができます。また、塗り替え工事の回数が減ることで、使用する塗料や塗り替え工事に必要なエネルギー(燃料・電力)も削減できるため、環境負荷削減にも貢献できます。