近年の爆発的な通信トラフィックの増加に伴い、光通信デバイスは更なる大容量化、小型化、高機能化が求められています。このような要求にこたえるためには、光通信分野で主流となっている光導波路技術に加えて新たなテクノロジーを生み出す必要があります。本技術は、NTTで培ってきた光導波路技術と空間光学系(FSO)技術を融合したあらたな光プラットフォーム技術です。私たちは、本技術を用いて光導波路とFSOの利点を最大限に引き出し、従来デバイスの限界を打ち破ることを目的とし研究を進めております(図1)。
図2にSPOCプラットフォームの概念図を示します。光導波路光学系の特徴である2次元平面への高密度集積性と、FSOの特徴である3次元空間を利用した大規模並列性を自由に組み合わせて、従来は実現の難しかった光回路や高性能な光回路を実現できます。さらに、空間に出射した光の波面を空間光変調素子(SLM)を用いて制御することで、光回路を柔軟かつ高精度に再構成することができます。
われわれの研究グループでは、SPOC技術を光ノードデバイスへ適用してきました。SPOCのもつ高密度な集積性と大容量化を利用することで、例えば導波路光学系のみで実現可能な規模の数十~数百倍のスケーラビリティを有する光ノード素子を構成することができます。また、SPOCの持つ複合機能性や柔軟性を利用することで、ノード素子の機能を動的に再構成可能とすることができます(図3)。これらの技術により、Big-Data時代の大容量なトラフィック処理を下支えし、高度なICT社会の推進に貢献していきます。
SPOC | Spatial Planar Optical Circuit, 空間平面光回路 |
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FSO | Free Space Optics, 空間光学系 |
ICT | Information and Communications Technology, 情報通信技術 |
SLM | Spatial Light Modulator, 空間光変調器 |
WSS | Wavelength Selective Switches, 波長選択スイッチ |
FPGA | Field-Programmable Gate Array, フィールドプログラマブルゲートアレイ |