私たちが聴く音には豊かな質感があります。しかし、その仕組みは謎に満ちており、実験室での単純な人工音を用いた実験だけでは解明できません。この展示では、実験室外の自然な環境で私たちが経験している音を調べることで聴覚の理解を深める試みを紹介します。私たちは特に、自然な頭の動きを含むバイノーラル録音や、壁や木々の反射由来の空間残響に着目して研究を進めています。自然音を解析する中で、空間残響に順応する仕組みが世界で初めて明らかになったり、聴覚の定説が必ずしも成り立たないことが分かってきました。将来、音の質感知覚を支える聴覚機構を理解できれば、単に音の内容を伝えるだけではなく質感制御までもが可能になるでしょう。
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