ドコモ・Nokia・SKテレコムとのAI-AI技術連携

2025年(令和7年)

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6Gの研究開発が加速している中、AI/ML (Artificial Intelligence / Machine Learning) は6G時代の中核的技術として注目されています。その有力なアプローチの一つが、無線インタフェースをAIでエンドツーエンドに最適化する AI-native air interface (AI-AI) です。NTTアクセスサービスシステム研究所は、NTTドコモ、Nokia Bell Labs.、SK Telecom Co., Ltd.と連携し、このAI-AIの実環境における有効性を確かめる実証実験を推進しております。

■技術概要
本取り組みでは、AIを用いたパイロットレス伝送方式の実証を行っております。一般的に移動体無線通信では、チャネル推定および等化により、伝搬チャネル上で発生するマルチパスフェージングやドップラーシフトなどの影響を除去した後に、復調処理が行われます。従来では、この送受信間のチャネルを推定するために、パイロット信号と呼ばれる参照信号を送信することがほとんど必須でした。一方で、提案方式では、AIを活用することで、チャネル推定を含む受信処理をパイロット信号なしで実現します。具体的には、図1 (a)に示すように、送信側のデータ変調に用いる信号点配置パターンと、受信側のチャネル推定と等化、復調を担うCNN (Convolutional Neural Network) を事前学習によって最適化して適用します。これにより、図1 (b)に示すように、従来はパイロット信号の送信で使っていた無線リソースもデータ伝送に活用することができるため、スループットの向上が期待できます。学習には3GPP (Third Generation Partnership Project) の伝搬モデルを用い、速度0~200 km/h、遅延広がり10~500 ns、SNR (Signal-to-Noise Ratio) 0~20 dBといった条件を変えながら事前学習を行っています。
本実証実験では、ソフトウェア無線機で無線信号の送受信を行い、CNNを含む受信処理はGPUサーバーを用いて、リアルタイムに動作させました。無線諸元は、中心周波数が4.8 GHz、サブキャリア間隔が30 kHz、帯域幅が9 MHz, 変調方式が16QAM (Quadrature Amplitude Modulation)、EIRP (Equivalent Isotropically Radiated Power) は屋内試験で10.5 dBm、屋外試験で23 dBmとしました。

(a)提案方式のシステムモデルと、(b)無線リソース配置図

図1 (a)提案方式のシステムモデルと、(b)無線リソース配置図


■実証実験
提案方式のAIは伝搬モデルをベースに最適化している一方で、実際の環境では、電波の反射や遮へい、移動による変動などが加わるため、学習時とのずれが生じる可能性があります。そのため、AI技術の実用化研究開発では実証が特に重要だと考えております。今回の4社連携では、屋内および屋外のOTA (Over-The-Air) 試験により、AI-AIが本当に実環境で効果を発揮するかを確認しました。
図2 (a)に屋内試験環境の模式図と、測定結果を示します。屋内試験では、棚や柱などの電波障害物が多く存在するような部屋で、図中の矢印で示す1~5のルートを歩行速度で往復し、従来および提案方式のスループットを測定しました。測定結果のグラフは、提案方式によるスループット利得を示しており、6~16%スループットが向上することが確認できました。
図2 (b)に屋外試験の結果を示します。屋外試験では、受信アンテナをビル屋上に設置し、送信機を搭載した車両を40 km/hで走行させて評価を行いました。結果の図は、提案方式によるスループット利得のヒートマップを示しており、基本的にパイロット信号を除いた分の18%の利得が得られております。また、街路樹による遮へいや建物からの反射波の影響で従来方式の品質が劣化しやすい区間においても、提案方式は安定した性能を発揮しました。従来の5Gでは、環境に応じてパイロット信号の入れ方や受信処理などを調整する必要がありますが、提案方式は追加学習や環境依存のオンライン最適化なしでも高い性能を示すことが確認されました。


(a)屋内試験環境および屋内試験における提案方式によるスループット利得と、(b)屋外試験におけるスループット利得

図2 (a)屋内試験環境および屋内試験における提案方式によるスループット利得と、(b)屋外試験におけるスループット利得


■まとめ
本取り組みでは、AIを用いたパイロットレス伝送方式が、実際の無線環境でも有効に機能することを実証しました。屋内OTA試験では従来方式に対して6~16%のスループット向上を、屋外OTA試験では18%以上のスループット向上を確認し、追加学習や環境に応じたオンライン最適化を行わなくても高い性能を発揮できる可能性が示されています。今回の4社連携による実証は、AIを無線インタフェースそのものに取り込むAI-AIの実現性を示すものであり、6G時代の新しい無線方式に向けた重要な一歩といえます。
より詳細な情報は、XGMF 6G無線技術プロジェクト、AIとDigital Twinの活用WGの白書「AI/ML and Digital Twin Technologies」(https://xgmf.jp/download-center/) および関連資料をご覧ください。

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