マルチ無線プロアクティブ制御技術Cradio®(クレイディオ)は、無線通信環境に関する把握・予測・制御の3技術を連動させることにより、様々な無線ネットワークが状況に追従・事前適応することを可能にすることで、無線ネットワークを意識させないナチュラルな通信環境を実現することを目指しています。 2021年度には、2022年度以降のローカル5G市場の立ち上がりに合わせ、その差別化へ向けてCradio技術群を統合・連携させた技術確立を行い、第一段階の開発としてCradio1.0システムを開発しました。
Cradio1.0は、Cradioに関わる機能群をマイクロサービスアーキテクチャ※1およびAPIファースト※2で開発することにより、様々な外部システムとの連携や機能拡充を迅速かつ容易にすることを可能にしています。関連性の高い機能群をまとめた3つの技術について説明します(図1)。
1.Cradio無線状態把握・品質予測技術
無線LAN、ローカル5G、公衆5Gなどに対応した無線通信品質や位置情報などの情報を取得可能な無線状態測定機能、取得した品質情報や自端末の移動情報と機械学習を用いた未来の無線通信品質を予測する品質予測機能により、品質劣化を予測し事前措置による安定利用を可能としています(図2)。
2.Cradio伝搬推定・置局設計技術
LiDARによる点群取得と電波伝搬推定に必要なデータ量に削減しつつCADデータ加工する環境の3D自動モデリング機能、環境に最適化した電波強度推定機能、適切な基地局位置を導出可能な置局設計導出機能を組み合わせる事で、自動・スキルレスな設計導出を可能としています(図3)。
3.Cradio協調技術
Cradioの3機能群(把握、予測、制御)を要件に応じて適切に組み合わせ実行させるとともに、外部システムとの連携を可能とする連携制御・IF(インターフェース)変換機能により、Cradioの各機能間および外部システム間の自動連携による全自動化を可能としています(図4)。
これらの開発技術により、企業向け無線ネットワークビジネスの課題となる、高品質・安定な通信の実現や、個社別の環境や要件に合わせた迅速な無線システムの構築、および様々なシステムとの自動連携の実現を達成します。
※1 マイクロサービスアーキテクチャ:独立した複数の小さい機能(マイクロサービス)で構成し、それらをAPIで連携させるアーキテクチャ。デプロイ/機能追加等の迅速性、負荷変動対応性・拡張性に優れます。
※2 APIファースト:人が操作する前提のUI(ユーザーインターフェース)ではなく、外部システム連携利用を想定したAPIでの機能実装を優先。UIはAPIを利用する形で実装する事で、効率的かつ利用価値の高い構成となります。