アンライセンス周波数帯で運用される無線LANにおいて、特定のトラヒックを優先的に送信できるようにし安定的な通信を実現する低遅延・低ジッタ無線アクセス制御技術を紹介します。
(1) 開発の背景
インターネットにアクセスする手段として無線LANは広く使われています。2.4GHzや5.2GHz等のアンライセンス帯の周波数上で運用しているため誰でも簡単に設置・運用は可能です。手軽に運用ができることから、利用近年では、単なる通信手段としてだけではなく、例えば観光地や店舗におけるキャッシュレス決済システム等、身近なところでも無線LANの利用が広がっています。しかし、無線LAN利用基地局や端末が多い環境では、干渉等により安定的な運用ができない課題があります。我々は、低遅延や低ジッタが求められる特定のトラヒックを優先的に送信できる技術を開発しました。
(2) 技術の概要
無線LANの標準技術をベースとして、端末を改造することなく、無線LAN基地局のファームウェアによる無線パラメータ制御、および無線リソース制御エンジンからの複数無線LAN協調動作の制御により、低遅延・低ジッタ化を実現しました。
具体的には、
- 低遅延要件が必要な端末を他の通信と分けて収容することで、品質保護
- 機械学習を活用した独自アルゴリズムにより、無線LAN基地局の無線パラメータを最適化により複数の無線基地局間の無線アクセス制御を実施しました。
NTT西日本と共同で石川県の近江町市場にてトライアル(2019/4-2019/10)を実施し本技術の効果を確認しました。