マルチレイヤネットワークにおける故障箇所・原因を推定するルール型故障箇所推定技術

2025年(令和7年)

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近年、ネットワークは物理レイヤから論理・サービスレイヤまで多層化・大規模化が進んでおり、レイヤを跨いだ故障分析や原因特定の迅速化が強く求められています。
そのため、従来のルール学習型故障箇所推定技術を拡張し、マルチレイヤネットワークの構成情報と各レイヤから取得されるアラーム情報を基に、レイヤ横断で故障箇所および原因を高精度かつ高速に推定可能な技術を確立しました。
本技術により、マルチレイヤネットワークにおける故障箇所・原因推定の効率化・自動化が可能となり、通信キャリアネットワークをはじめとする大規模ネットワーク運用への適用が期待されます。
また、これまで保守者の経験やスキルに依存していたアラーム分析や故障切り分け作業の負担を軽減し、故障対応時間の短縮や運用コスト(OPEX)の削減に寄与するとともに、サービスの故障復旧の迅速化や安定したサービス提供への貢献が期待されます。(図1)

本技術による効率化概要

図1 本技術による効率化概要


■マルチレイヤネットワークでの故障箇所推定の適合率向上のための技術ポイント
ルール型故障箇所推定技術では、学習フェーズにおいて故障事例(故障発生時刻、故障原因)を登録し、その故障時間帯に発生していた多数のアラームの中から、故障原因を特徴付けるアラームの組み合わせを If-Then ルールとして自動生成します。また、推定フェーズでは、生成されたルールへの合致率を基に、故障箇所および原因を推定結果として提示します。
しかし、従来技術では、大規模かつ複雑なマルチレイヤネットワークを対象とした場合、推定結果として提示される故障被疑候補が増大し、正解箇所の割合(適合率)が低下するという課題がありました。
そこで、学習フェーズにおけるルール決定手法として、正解箇所に対するルール合致率に加え、不正解箇所のルール合致率および不正解箇所の数を加味した最適ルール算出アルゴリズム【図2】を確立しました。本アルゴリズムにより、推定フェーズで不正解箇所が多数提示されるようなルールを採用する確率を低減でき、従来技術と比較して適合率を向上させています。
保守者は、提示された上位候補から順に切り分け作業を行うことで、分析時間の短縮とともに、保守者のスキル差に依存しない安定した故障対応が可能となります。

最適ルール算出アルゴリズム概要

図2 最適ルール算出アルゴリズム概要


■推定処理時間短縮のためのマルチレイヤ対応技術のポイント
大規模ネットワークは複数のレイヤから構成され、かつ大量のネットワーク構成情報を扱う必要があるため、故障箇所・原因特定における推定処理時間が長時間化するという課題があります。
そこで、ネットワーク管理における構成要素が、各レイヤでの端点間の接続性を表すリソースと、それらを構成する要素から成り立っている点に着目し、各リソース間の関係性を3種類(依存、包含、接続)に分類、有向グラフ化し、包含関係にあるリソースの集約と接続関係の再構成を行うアルゴリズム(相関範囲リソース低減技術)を確立しました。これにより、レイヤ横断での分析に必要となるリソース数を削減し、推定処理時間短縮を実現しています。

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