NTTアクセスサービスシステム研究所では、多様なネットワークの一元管理を可能とするネットワークリソース管理技術(NOIM:Network Operation Injected Model)の研究開発を行ってきました。ネットワークの終端点や接続性などのネットワーク種別に依存しない汎用的なデータ形式でネットワークの情報を管理し、さまざまなネットワークを一元的に管理することで、多数の通信技術を組み合わせた複雑な通信事業者のネットワークにおいて、通信設備故障により発生するサービス影響を迅速に把握することが可能になります。 今回、NOIMを活用し、災害等によって大規模な設備故障が発生したときに、優先的に復旧すべき設備を導出する復旧優先度算出技術を確立しました。近年、災害の発生時における通信サービスの復旧業務の迅速化が課題となっています。オペレータは、被災地域のネットワーク設備情報や社会情報(道路状況・災害状況)等を収集し、刻々と変わる状況に応じてどの設備を優先して復旧するかを判断する必要があります。本技術は、限られたリソースの中で通信サービスを速やかに復旧するために、NOIMによって算出した設備の重要度と社会情報を組み合わせ、多くのユーザを救済可能な復旧プランを生成することで、オペレータの情報分析・判断を支援します。(図1)
■復旧優先度算出技術のポイント 災害時において限られた数のリソース(例:電源車)をどの被災設備(例:停電ビル)に配備すべきか、オペレータは膨大な数の組み合わせからより良いプランを見つける必要があります。本技術は、NOIMによって設備が復旧したときの通信サービスへの影響を算出することで各プランを実行した場合の効果をシミュレーションし、より良いプランの発見を支援します。このとき、各設備の重要度をその設備のみが被災したときのサービス影響をもとに推定し、重要度の高い設備を優先する組み合わせから順次シミュレーションを行うことでプランの探索を効率化しています。さらに、復旧すべき停電ビルへの電源車の配備ルートを分枝限定法によって計算することで、停電ビルの畜電池残量や電源車の所要移動時間を踏まえたルートを短時間で算出可能にしています。