業務上の様々なタスクに対して担当者を割り当てる人的リソース割当においては、タスクの特徴や作業難易度、担当者の熟練度や知識レベル、業務経歴など非常に多くの考慮すべき項目について、割当者が自身の勘や経験を頼りに総合的に判断して、割当案を作成しています。その結果、割当案作成時における判断根拠の暗黙知化や割当者の属人化が進み、業務の継承や集約、効率化の妨げとなることが多くなっています。本問題を数理的に解く場合、タスクと担当者の効率的な組み合わせ数は極大となる上に、正解となる組合せが一つでないことから、現実時間で最適な割当案を導き出すことは非常に困難となります。 アクセスサービスシステム研究所では、タスクと担当者の適性評価と、担当者の稼働効率化を両立させる数理モデルを組立て、熟練者の判断に近い割当案を導き出す采配高度化技術を確立させ、ヒトが行う様々な割当問題の解決を支援する計算機能として「采配高度化エンジン」を開発しました。
采配高度化エンジンでは、次の主要機能を有しており、考慮すべき項目が多面的な割当業務について、柔軟で実用的な最適案を導き出すことができ、業務効率化へつなげることができます。
意図構造化機能
考慮すべき項目のシンプルな構造化を実現し、従来膨大な計算時間を要した多目的最適化問題を現実時間で解くことを可能としました。更に制約(絶対条件)と、指標(優先度)を組合せ、割当ルールを順守の上で、解の許容範囲を確保することで,ヒトの柔軟な判断を再現可能となっています。
実益解導出機能
ソルバーが導き出す無機質な解の数値評価を実現し、専門的な知識が無くても、「解特徴」や、「過去の割当履歴との比較結果」の提示により、最適案の簡単な選出を可能とします。
アプリケーション提供機能
割当案の計算部分のみを実装し、インタフェースをREST準拠とすることで、多様な業務システムとの連携が容易となり、様々な割当業務への活用が可能となっています。
采配高度化エンジンは、限られた人員体制の中で複数の工事現場へ監督者を派遣するような、オンサイト作業者の割当において、フィールド実証実験を通じて割当案の有用性を確認できています。オンサイト作業者の割当の場合、オンサイトにおけるタスク遂行の難しさと作業者スキルのマッチングによる「適任者の評価」、また、複数のオンサイト拠点を巡回するための「稼働量の評価」を行い、総合的に最良な割当案として提案します。 本エンジンは、タスクへの適任者選定による高い作業品質と、特定の作業者への偏りを減らす効率的な稼働配分を両立させ、全体最適な業務計画を策定することが可能です。