画像を用いた鋼構造物における腐食進行の予測技術

2025年(令和7年)

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橋梁、鉄塔、ガードレール等といった鋼構造のインフラ施設は、腐食により健全な鋼材が減少し耐力が低下していくことで、施設の破損や崩壊を引き起こす可能性があります。そのため、施設管理者は一律周期で点検を行い、施設の腐食状況の確認や必要に応じて補修することで、安全・安心な維持管理を実現しています。
しかし、これらの一律周期での点検はすべての施設を対象としているため、膨大なコストがかかることや専門技術者の減少により、将来にわたり継続的に実施することが難しくなっています。
そこで、現在の一律周期での点検業務を見直し、個々の施設の腐食進行に合わせた最適な点検・補修による維持管理の効率化を目的として、施設ごとに将来の腐食状態を予測する技術を確立しました。

本技術は施設の画像、施設が設置されている環境データ(気温や降水量等)、予測したい年数の3つのデータを入力することで、将来の腐食の広がりを予測したデータを生成します(図1)。なお、本技術に用いた画像は道路橋およびNTTが保有している通信用管路施設の鋼材部の撮影画像であり、過去NTTで実施してきた施設点検時に収集したデータです。
本技術は深層学習手法の敵対的生成ネットワーク※1(GAN:Generative adversarial network)をベースに構築しています。GANとは入力データの特徴を学習することで、擬似的なデータを生成することができる生成モデルです。
私たちはこのGANに経過年数と腐食の増加量に加えて、過去と現在の施設画像を活用して腐食の面積・形状・色等の情報を学習させたモデルを構築しました。さらに、気温や降水量等の化学的に腐食進行に影響すると想定される複数の環境データの中から、最適なパラメータを選び出し、画像と一緒にモデルに入力できる構成としました。その結果、画像中の個々の腐食の進行速度を正確に予測できるモデルを確立しました。

本技術の概要

図1 本技術の概要


現場に設置されている道路橋および通信用管路施設の鋼材20か所の画像を用いて本技術の性能検証を行いました。検証用の画像は、数年前にNTTで撮影した画像と同一の画角・構図で撮影を行い、収集しています。
評価方法は、過去画像と現在画像から腐食領域の増加率を算出します。次に、過去画像と本技術による予測画像の腐食領域の増加率を算出し、これら両者の数値を比較します。

本技術の検証結果

図2 本技術の検証結果


過去画像から現在画像までの腐食領域の増加率(実際)と本技術による予測画像との増加率(予測)の結果を図2に示します。相関係数※2は0.738であり高い相関を確認しました。実際と予測の増加率の平均誤差は9.9%、ばらつき※3は3.7%であることを確認しました。
この結果から、本技術による腐食状態の予測は将来の腐食領域の増加量を把握できる精度であるため、点検周期の最適化や最適な時期での補修判断に活用できます。

※1. 敵対的生成ネットワーク:深層学習(ニューラルネットワーク)モデルのひとつ。 2つのニューラルネットワークをトレーニングして互いに競合させ、用意したデータセットからより本物に近い疑似的なデータの生成が可能なモデル。2つのニューラルネットワークが競合するため敵対的と呼ばれる。
※2. 相関係数:2つのデータ間にある線形な関係の強弱を測る指標であり、1に近いほど正の関係が強い
※3. ばらつき:実際の腐食進行率と予測の腐食の進行率の絶対値誤差の標準偏差(σ)

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