エッジコンピューティングの品質制御による遠隔収穫ロボット操作

2025年(令和7年)

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■背景
日本の農業は現在、担い手の減少や高齢化などに伴う労働力の不足に直面しており、その解決策としてスマート農業技術の導入が進んでいます。しかし、農作業の多くは、依然として人手に頼っているのが現状です。そのため、農業用ロボットによって農作業の稼働を削減することが求められています。
特に、植物を扱う農業では、作業を一律に自動化することが難しいため、人の判断を伴う遠隔操作ロボットの活用が重要です。この利用形態においては、遠隔操作に欠かせないネットワークやサーバ処理の低遅延化だけでなく、万が一、高負荷状態により遅延が大きくなってしまった場合にも操作性を低下させない仕組みが、広く遠隔操作を普及させるために必要となっています。このような背景から、操作性の高い遠隔収穫ロボットの操作実証に取り組みました。

■技術のポイント

  • アプリ外からの処理時間計測
    遠隔操作のサポートを行うために用いる、遠隔地の映像に対して画像処理を行うアプリに対し、アプリ外から入出力データを汎用画像フレームのヘッダ特性を用いて解析し、データの通過時間から処理時間を計算できるようになりました。これにより、画像処理アプリに手を加えなくても、アプリ外のサーバのみで処理時間計測を行えるようになります。

  • 品質通知によるシステム連携
    通信品質の状態をリアルタイムに遠隔収穫システムに通知し、システム側で操作性を改善するための制御を行うようにしました。本機能では、通信品質を分析し、それを3段階に分類し、遠隔収穫システムへの通知を行います。また、ロボットアームを制御する情報に対して通信品質に応じた速度制御を行い、アームを減速させます。これにより、エンドツーエンドでの遅延時間が長くなった場合でも、操作者はその状況を把握し、操作上のストレスを軽減することが可能です。さらに、遅延時間が長くなると操作精度が低下しますが、アームの速度を調整することで、その誤差を軽減することができます。

技術のポイント1

技術のポイント2

図1 技術のポイント


■実証実験の概要
本実証では、東京都の収穫ロボット操作者がネットワークを通じて伝送されたカメラ映像を見ながら、秋田県の圃場にあるイチゴを収穫するロボットを遠隔操作する環境を構築しました。画像処理アプリが収穫ロボットのカメラが撮影した映像をイチゴの収穫適否を判定し、その結果を映像に追加します。操作者はモニタに表示された収穫適否の情報が表示される映像を見て、ロボットを遠隔操作して秋田にあるイチゴを収穫します。
システム構成として、秋田県のイチゴ圃場に収穫ロボットとエッジサーバを設置し、東京都の拠点に操作端末を配置しました。両拠点は直線距離で約400km離れており、光アクセス回線とインターネット回線で接続されています。この環境で、収穫ロボットを遠隔から精度高く操作し、イチゴを傷つけずに収穫できることを確認しました。

実証実験の構成

図2 実証実験の構成


また本システムに、モニタの表示情報とロボットアームの速度をエンドツーエンドの遅延時間に応じて変更する機能を実装し、本機能がイチゴの収穫作業の操作性をどの程度向上させたのかを検証しました。具体的にはイチゴの位置にロボットアームを1回の操作で正確に移動できた割合(成功率)を測定しました。その結果、遅延が変動する環境では成功率が約50%でしたが、本機能を活用することで成功率は約80%に向上し、約30%の改善が確認されました。さらに、被験者の5名全員が本機能による操作性の改善を実感したと評価しました。

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