広域多端末RDMA通信制御技術
![]()
- アクセスシステム技術 >
- 広域多端末RDMA通信制御技術
【概要】
多数の高解像度カメラ映像を活用した遠隔監視への期待が高まる一方、従来はネットワークやサーバ負荷の制約から、収集できる映像データ量やカメラ台数に限界があり、野生鳥獣監視でも局所的な確認にとどまり、広範囲の継続的な監視や現場作業の省力化が困難でした。アクセスサービスシステム研究所では、RDMA※1通信を最適制御する広域多端末RDMA通信制御技術により、通信性能を維持したまま多数の高解像度映像を低負荷で収集できることを実証しました。これにより、広域で高精度な遠隔監視を可能とし、見回り調査など現場負担の軽減に貢献します(図1)。

図1 野生鳥獣監視の現状と本通信制御技術で実現する将来像
【技術の特徴】
本技術は、多数の端末から発生するRDMA通信の開始/終了タイミングをコントローラで制御することにより、パケットロスを抑止して通信性能を確保します。収集すべきデータの発生を契機として端末が通信の開始をコントローラに要求し、コントローラが各端末の要求に基づきRDMA通信が衝突しないよう通信の開始/終了タイミングを制御することで、パケットロスを抑止します。また、RDMAの高速性と収集データごとに異なる遅延要件の多様性といった特徴を踏まえ、速やかな分析が必要なデータの場合のみ通信開始/終了を即時行い、分析に時間をかけてもよいデータの場合はシステムのスループットを高められるよう一定量データを集約して通信開始/終了を行います。このような動作により、タイミング制御のオーバーヘッドを極力抑えて通信性能をより高めることができます。
従来のRDMAでデータを収集する場合は、サーバ負荷の低減が可能であるものの、多数の端末で回線を共用することによるパケットロスが発生し、通信性能が大幅に低下します。一方、本通信制御技術でデータを収集する場合は、RDMA利用時のパケットロスを抑止できるのでスループットを約5倍向上できることを確認しました。また、TCP※2でデータを収集する場合と比べると同等の通信性能を確保しながら受信処理に要するサーバ負荷を最大1/1000まで低減できることを確認しました※3(図2,3)。
この技術により、遠隔監視の適用領域を拡張し、現場作業の負担軽減が期待されます。特に、野生鳥獣監視においては、動物の生息数や行動範囲・移動経路といった高度な解析に拡張し、現地の定期的な見回り調査作業負担を軽減することで、作業者の担い手不足や高齢化の問題解決に貢献します。

図2 実証実験システムと本通信制御技術の動作

図3 サーバ負荷と平均スループット
【用語解説】
※1 RDMA(Remote Direct Memory Access)
ネットワークを介してメモリ上のデータを直接転送する技術。
データセンタや高性能計算などの短距離のデータ転送で利用されている。
※2 TCP(Transmission Control Protocol)
IP(Internet Protocol)通信で広く利用される通信プロトコル。
輻輳制御や再送制御等の制御機能により信頼性の高いデータ転送を実現する。
※3 NTTニュースリリース 多数の高解像度カメラ映像の画像認識処理を支える低負荷データ収集通信制御技術をIOWN APN上で実証
~広範囲で正確な野生鳥獣監視の実現による現場作業負担軽減に貢献~
https://group.ntt/jp/newsrelease/2025/07/11/250711a.html