#研究者の声
将来の大容量光伝送基盤の実現に向けたマルチコア光ファイバ技術

# 光ファイバ

# 光ネットワーク

# 空間分割多重

目次

研究について

研究テーマや分野、研究内容について教えていただけますか?

AIの普及やデータセンターの急増に伴い、データ通信容量はますます増大すると考えられています。その基盤となる光通信システムに求められる伝送容量も指数関数的に増加しており、光ファイバ通信の持続的な大容量化が求められています。しかし、現在使用されている汎用光ファイバ(単一モード光ファイバ)を用いた通信容量は、すでに物理的な限界を迎えつつあると考えられています。そこで私たちは、光ファイバ1本あたりの通信容量を増大する、空間分割多重光ファイバ技術の研究を行っています。

研究の目的や狙いについてお聞かせください。

現在広く使用されている単一モード光ファイバは、光の通り道である「コア」が一つ存在します。このコアを同一ファイバ内に複数設けた「マルチコア光ファイバ」を用い信号を空間的に多重して伝送することで、一ファイバあたりの伝送容量を大きく増加させることができます。私たちは将来の超多芯需要に応えるため、従来ファイバの10倍以上の伝送容量を実現可能な10コア超の光ファイバの実現に向けて研究を行っています。

これまでの成果や進捗について教えてください。

マルチコア光ファイバの基礎的な設計・試作から、周辺技術と組み合わせた大容量伝送の検証まで行っています。10以上のコアを一つのファイバに配置しようとすると、コアの配置密度が高くなり、光どうしの干渉(=結合)が発生します。光ファイバの設計においては、従来と同じ損失や帯域特性を維持しつつ、この結合度合いを適切に制御することが重要になります。これまで私たちは、光ファイバ設計および試作を行い、良好な光学特性を持つ10コア超の光ファイバを実現しました。また、実環境を模擬したテストベッドにこのファイバを敷設し、未来ねっと研究所と共同で大容量伝送を実証しました。

研究が将来どう活きるのか教えていただけますでしょうか。

たとえば近年需要が拡大している海底光ケーブルはファイバ収容スペースに制約があり、ケーブル内のファイバ心線数はすでに限界に達しています。空間分割多重光ファイバ技術を用いることで、ケーブル内の光ファイバ心線数を増やすことなく伝送容量を拡大していくことが可能となります。

NTT/AS研について

入所のきっかけ・志望理由についてお聞かせください。

大学院では量子情報分野の基礎研究を行っておりました。修了後はより実用化を目指して研究開発を行いたいと思い、情報通信の基礎研究から実用開発まで一貫して行うことのできるNTTに入社をしました。

所属しているグループの役割やミッションについてご紹介いただけますか?

次世代光通信技術の基盤となる、新たな光ファイバ技術の研究を行っています。

研究所の環境はいかがでしょうか?

AS研では光ファイバの計算機シミュレーションから製造、評価など一連の検討を行うことができ、光ファイバ通信の研究を行う上で充実した設備やノウハウがそろっています。また研究成果を国際会議等で発表する機会も非常に多く、世界中の研究者と議論しながら研究を進めることができます。

一緒に働く方々の雰囲気についてお聞かせください。

さまざまな分野に精通した「生き字引」のような研究者が数多く在籍しています。研究で行き詰ったと感じるときも、常に誰かと議論しながらアイディアを出すことができる環境です。

キャリア支援や学びの場について教えていただけますか?

博士号取得を支援する制度が充実しており、自分を含めた多くの社員が働きながら学位の取得を目指しています。

メッセージ・展望

研究に対する思いについてお聞かせください。

NTTにおけるさまざまな情報通信サービスの土台となる光ファイバ・ケーブルの研究開発に携わることができており、やりがいを感じています。基礎的な研究は想定通りにいかないことも多いですが、日々のシミュレーションや実験から得られる小さな進捗を楽しみながら、研究を進めています。

最後に、読者(研究者をめざす学生など)へのメッセージをいただけますか?

NTT R&Dではさまざまなスキルやバックグラウンドを持った研究者・技術者が活躍しています。自分自身の強みや専門を生かせる領域をきっと見つけることができますので、少しでも興味のある方はぜひ見学会などに足を運んでみてください。

テストベッドでの『フィールド敷設』の写真、長いトンネルみたいだけど、ここは何の施設なの?

ここは『とう道』と呼ばれる、通信ケーブルを収容する地下トンネルだよ。
実際の通信設備に近い環境で実験できるんだ。

へえ、秘密基地みたい! ここにマルチコア光ファイバを敷設しているんだね。

そうなんだ。将来、実際のネットワークで使えるように、こうした環境で性能や使いやすさを確かめているんだよ。

研究者プロフィール

氏名
今田 諒太(いまだ りょうた)
所属
アクセス設備プロジェクト
先端媒体グループ/光ケーブル高度化グループ
入社年
2019年
経歴
北海道大学大学院情報科学研究科 情報エレクトロニクス専攻を修了後、NTT株式会社に入社。以来、アクセスサービスシステム研究所にて大容量光ファイバ技術の研究開発に従事。