目次
研究について
研究の背景や狙いについて教えていただけますか?
事業会社の通信ネットワーク運用の現場では、ネットワークの設計や構築から、監視や故障対応、想定外の事象が起きたときの判断まで、幅広い業務を限られた時間と体制で進める必要があります。そうした中で、作業の品質を支える手順書も、作成や検証に十分な時間を確保しにくく、ミスを減らしながら効率を上げることが難しくなっています。そこで本研究では、手順書を作成して検証する負担を軽くしつつ、運用の品質を安定させることを狙いとしています。
研究テーマや分野、研究内容についてお聞かせください。
このような運用の負担を減らすために、既存の手順書や運用情報を活用して、状況に応じた作業計画の立案や実行の支援を担うLLMプランナー/AIエージェントの研究に取り組んでいます。具体的には、既存の手順書を根拠として参照し、不足する手順を補います。さらに、検証環境で得られる結果を取り込みながら手順全体を組み立て直し、抜け漏れを減らします。こうした仕組みによって、人手が限られる状況でも安全に運用できる状態を目指します。また、機密情報を扱う現場ではクラウド型のAIを使いにくい場合もあるため、閉域環境でローカルに動作するLLMでも成立する設計を意識しています。
これまでの成果や進捗を教えてください。
現在は要素技術の確立に取り組んでおり、特許出願や論文投稿、事業会社と連携した概念実証などを進めています。概念実証では、現場の技術者と一緒に実際の運用の流れを確認しながら、どこで判断が迷いやすいか、どんな確認が抜けやすいかといった点を洗い出し、検証と改善を繰り返して現場で使える形に近づけています。
研究が将来どう活きるのか教えていただけますでしょうか。
将来的には、設計・構築・保守の各場面で状況に応じた判断を支援し、確認や手戻りの負担を減らしながら作業の品質を安定させたいと考えています。あわせて、作業の進め方や判断のポイントを再利用しやすい形で残すことで、ノウハウの引き継ぎを進め、安全で安定した運用を支える基盤を強化していきます。
NTT/AS研について
所属しているグループの役割やミッションについてご紹介いただけますか?
通信ネットワーク運用を中心とした事業課題を起点に、AI活用を横展開できる共通基盤を整え、運用業務の自律自動化への転換を推進しています。
入所のきっかけ・志望理由についてお聞かせください。
大学では自然言語処理を研究しておりましたが、自分の専門性を活かして実運用の制約がある現場でも使えるAIを実装し、ネットワーク運用の高度化に貢献したいと考え志望しました。
研究所の環境については、いかがでしょうか?
研究に必要な計算資源などの環境が整っており、さまざまなバックグラウンドを持つメンバーと日々意見交換しながら、現場で本当に役に立つ技術を検討しています。集中する時間とリフレッシュの時間を切り替えやすく、メリハリをつけて仕事を進められる職場です。
勤務日の一日について教えてください。
勤務時間を柔軟に設定できるため、日中は打合せや調整を中心に進め、夕方以降の集中できる時間帯に動向調査・数値実験・論文執筆を進めています。出社とリモートワークを適度に組み合わせ、対面での議論と集中作業の時間をそれぞれ確保するようにしています。
休日はどうやってリフレッシュされていますか?
休日は家族と公園や動物園などに出かけています。平日も勤務の合間に買い物や家事をして気分転換しています。
日常(プライベート)と研究との両立について教えてください。
リモートスタンダード制度を活用し、自宅や出張先で勤務しています。さらに裁量労働制度も活用し、子どもの送迎や家事の時間を確保しています。出社日はチームメンバーとのコミュニケーションに重点を置き、仕事がスムーズに進むように工夫しています。
メッセージ
研究におけるやりがいや思いについて、ぜひお聞かせください。
研究のやりがいは、現場の技術者と一緒に現場目線で検証と改善を回し、研究を社会実装までつなげられる点にあります。実際の運用で役に立つかどうかを確かめながら一歩ずつ良くしていけるので、成果が現場につながっていく実感があります。
読者(研究者をめざす学生など)へのメッセージをお願いします。
NTT研究所には基礎から実運用まで多様なテーマがあり、皆さんの専門性を活かせる場面があると思います。インターンシップや見学会を通じて体験してみてください。
もし学生時代の自分にアドバイスできるとしたら、どんなことを伝えたいですか?
研究者として振り返ってみて、思うことはありますか?
まずは興味を持った分野を、丁寧に学んでおくことだと思います。
一つのテーマにじっくり向き合う中で、自分が本当に面白いと感じる領域や技術が少しずつ見えてくることがあるように感じます。
その中で身につけた基礎的なスキルや考え方は、研究テーマが変わっても役に立つ場面が多いように感じています。
たしかに、研究分野は変わることもありますよね。
学生のうちにやっておくと良いことはありますか?
今の専門と直接関係がないように見える分野でも、興味を持った領域や技術には触れておくとよいのではないかと思います。
実際にツールやソースコードに触れることで理解が深まり、新しい視点を得るきっかけになることもあります。
そうした経験の積み重ねが、研究の発想を広げることにつながると感じています。
研究者プロフィール
- 氏名
- 福田 展和(ふくだ のぶかず)
- 所属
- アクセスオペレーションプロジェクト オペレーション情報流通基盤グループ
- 入社年
- 2020年
- 経歴
- 東京大学情報理工学系研究科電子情報学専攻を修了後、NTT株式会社に入社。以来、アクセスサービスシステム研究所にて通信ネットワーク運用に関する研究に従事。
- 一言
- 研究テーマを柔軟に設計でき、標準化や開発まで挑戦できます。