環境と社会の包摂的な連鎖メカニズムを認知するには、様々な事象の連鎖の構造をシステム思考で全体的に捉える必要があります。また、計算可能とした循環システムについて、安定性(平衡/非平衡)、創発特性といったシステムの状態や特性を明らかにすることも重要です。
私たちはこのような、環境社会の連鎖メカニズムに関する研究や、構循環システムを解くための基礎となる複雑系システム理論に関する研究に取り組んでいます。
GDPのような従来の社会成長指標では、環境と社会の持続可能性を評価することができないことが問題視されています。そこで私たちは、持続可能性指標として近年注目されている Incusive Wealth(以下 IW)の3資本(人工資本・人的資本・自然資本)に着目し、環境・社会循環システムの持続可能性を評価可能なモデルの開発に取り組んでいます。実際の社会課題ユースケースを対象に、System Dynamics技術を用いて計算処理基盤上にモデルを実現し、ローカルな政策がグローバルな環境社会の状態遷移に与える影響(創発メカニズム)を再現することで、新しい成長指標(新富国指標:IWI)の有効性を議論していきます。
事例として、二国間貿易経済モデルのなかで、経済投資のダイナミクスとしてIWIを表現した System Dynamicsモデルをご紹介します。
新しい持続性指標に関する私たちの研究成果を、環境や社会経済の専門家や企業、社会に対して広く発信し議論を巻き起こすことで、環境分野においてNTTが重要な役割を担っていきます。